突撃!バケーション3
自分の部屋にと連れて来られたのは、キレイに整えられた
八畳程の可愛らしい部屋だった。
外からの日差しがさんさんと降り注いでいて、明るくて
風通りの良さそうな部屋。
パタパタと風に揺れているカーテンの下の机にはダンボ
ール箱に入った小物達。
良く見てみれば、何故か見覚えの有る私物がコロコロ転
がっているではないか!
「えっと……」
「ちゃんのママが早速荷物を送ってくれたのよ、まだ
片付けていないから、後で片付けましょうね?」
そう自慢げに話す優希さんはとっても可愛らしい。
はっ!そうじゃなくて!!
これはもしかしてもしかするのかもしれない。
完璧に異世界トリップだ!
だってあそこに見えてる私物の中に……私の見られたく
ないダイアリーが転がってるもん。
しかも……表紙の絵がお気に入りの漫画のキャラクター
だし……。
「もう今日から来ちゃうんでしょう?楽しみだわ」
「本当に良いんですか?」
思わず聞いてしまう。
生活費は?学費は?その他もろもろの諸事情はどうなる
のか。
「あら、気にしなくて良いのよ?」
「だって……迷惑じゃ……」
「女の子が居るのは凄く楽しみなのよ?それにね、
ちゃんのママとはとっても仲が良いの、何も遠慮しない
でね?」
優希さんの顔には嘘を言っている様な様子は無くて、む
しろ喜んでいるみたいだった。
「あっ!」
「なんですか!?」
唐突な声に、驚いて尋ね返す。
「あのね、ちゃんのママが言ってたんだけど……
お家は今日にも貸しに出しちゃうらしいのよ」
「えぇっ?」
という事は、見に行く事すら出来ないのですか?
行っても他人が住んでいるだけ……。
むっ……しかし家の形は分かるのか……。
「とりあえず……今日から家の子ね!」
優希さんが元気良く隣で笑っている。
よしっ
此処はこの世界堪能してもバチは当たらないに違いない!
「こちらこそ宜しくお願いします!!」
何だか楽しくなってきた、まずは亜久津君にアタックだ!
