考えるのはいつも貴方の事ばかり2










今日は朝から気が重かった。








昨日の放課後、また跡部が別の人と付き合い始めたのだ。



きっと、今日の学校はその話題でもちきりに違いない。




「……やだな――……」




こんなシンミリしたのは自分には似合わない。
学校へ行って、ずっとこうなら……直ぐに跡部の事が
好きだってばれてしまいそう。







そんな事になって今より仲が悪くなったら……。






考えるだけで嫌な感情に心が支配されていく。











「はぁ……」








心そのままを現したような溜め息がポロリと出てしまい、
慌てて思考を切り替えた。

もう直ぐ学校。




私は跡部と犬猿の仲の女生徒。





「よしっ!」



「よしって、如何かしたのか?」



「うわぁ!」


急に声を掛けられて、慌てて振り返る。



「おい、そんな驚かなくたって……」



振り向けば、呆れた様な顔の宍戸がカリカリとほっぺを
掻いて立っていた。


「なんだ、宍戸か」



「おいっ!何だはねぇーだろ?」



「ぶぅ〜何だは何だなの!」



「はぁ、お前と会話すると気が抜けるぜ」



「まあ!それって落ち着くって事?!ちゃんもって
もて〜〜〜!」



ケラケラと笑ってチャカして私は駆け出した。




「亮っ!走らないと朝練遅刻だぞ!!」



「ゲッ!そうだった……激ダサだぜ」




後ろから駆けて来る宍戸を見て、ニヤっと笑うともう一言。




「只今7時55分……集合は?    8時でしょ!!」




「チッ……」





ああ、何で私はこれ以上を高望みするのかな?




これで十分……凄く幸せなのに。






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