ネテロが解散を宣言した瞬間だった。
その場を一瞬の内に光が包み込む。
次に目を開けた瞬間、受験生の前には、髭の長い老人が優しい
笑顔で立っていた。
混合夢17.2
〜ダンブルドア華麗に登場〜
「ダンブルドア先生!」
あれは紛れも無くアルバス・ダンブルドアだ。
は脇目も振らず駆け出した。
どんっという軽い衝撃の後、ゆっくりと顔を上げれば、半月型
のメガネの奥から、優しい笑みがを覗き込んでいる。
「どうかな?間に合ったかの」
「タイミングバッチリ!」
試験も終了し、解散宣言もあった。
これより後になったら、身の振り方について、真剣にネテロに
相談する事にしていたのだ。
「ねぇ、」
「……」
一瞬寒気が体を突き抜け、は慌てて振り返った。
「リ、リドル?」
「おぉ、リドルも無事で何よりじゃ」
「……心にも無い事を」
リドルが吐き捨てるように口にした言葉も意に返さず、ダンブルドア
はクルリと視線を回りへと送り、キラキラした目をもっとキラキラ
させて、口を開いた。
「お騒がせしてしまって申し訳ない」
一同は呆然としていて、ただただダンブルドアを見つめていたが、
ネテロだけは楽しげに笑い声を上げて、返事を返す。
「いやいや、実に面白いものを見せてもらいました」
「そう言ってもらえると、安心しますのぅ」
「その魔法とやらは、実に興味深いですな」
フォフォフォと2人して笑いあっている姿は、ゲートボール場
か、さながら縁側の雰囲気だが、この2人はただのおじいさん
ではない。
ハンター協会会長に、魔法界でも最強のダンブルドアだ。
は何だか面白いなぁなんて思いながら、2人を交互に眺めた。
多分、この2人は此処に居る誰より強いのだろう。
見た目は2人ともおじいさんなのに!!
「、何考えてるの?」
「へっ!?」
いつの間にか、隣でをガッチリ掴んでいたリドルは、真っ黒い
笑顔を浮かべて立っていた。
「目が言ってるよ、あの2人が此処で一番強いんだろうなぁって」
「ななななっ、何でわかって!」
「だから、目が語ってるんだよ」
なおいっそうに笑みが濃くなるリドルに、は愛想笑いで
応酬した。
「エヘヘヘ、リドルも強いに決まってるよ」
「そうかな?でも、はダンブルドアの方を信用してるんだろ?」
何を急に言い出すのか、は混乱した頭で、どう信用しているか
伝えようか考えた。
何だか、前回もこんな当てこすり的な嫌味を言われた気がする。
そんなにダンブルドアが嫌なのか、ただ絡みたいだけなのか。
むしろ、自分もダンブルドアに甘えたいから、が羨ましい
のだろうか?
そんな見当違いな事まで弾き出している脳みそに、慌ててストップ
をかける。
「私が好きなのはリドルだから!」
信用の最大級だ。
の脳みそはこんな返答を捻り出した。
しかし、言われた方は……。
まったく見当違いな返事に、一瞬あっけにとられ、直ぐに呆れ
顔になる。
「なんだか、に変に嫉妬した僕がバカらしいよ」
「何だかバカにされてる気がする……」
「してるんだよ」
そんな言い合いをしている内に、その場の空気が回答され始め、
全員の目がダンブルドアとネテロ、リドルとに集中しだした。
その中、一番乗りで行動に出たのがヒソカだ。
あろう事か、ダンブルドアに向かって、トランプをピュンと
弾き飛ばした。
しかし、トランプは当たることなく、ダンブルドアの前で速度
を落として急停止した。
ポトリと落ちるトランプ。
「……残念★」
全然残念では無い。
はヒソカを睨み付けた。
なんて事をするんだ!
とでも叫びたかったが、それをダンブルドアは手で制して、ニッコリ
と笑って見せた。
「フォフォフォ、まだ話して居たいのじゃが……そろそろお開き
のようじゃ」
ダンブルドアは杖を掲げ、何事か呟くと、ダンブルドアを中心
に魔方陣が浮かび上がってきた。
「血の気が多いものが沢山いるようじゃし、ちと、この後に
も仕事があるのじゃよ」
「それは残念、もう少し話してみたかったの」
ネテロは本当に残念そうに眉を下げた。
ダンブルドアも心なしか名残惜しそうだ。
「ああっ!!」
そんなお別れのシーンをぶち壊し、は大声を上げた。
「?」
2人も、リドルも、訝しげにを見ている。
「ごめんなさい、少し待ってて下さい!」
忘れていたが、一同を見渡し、ふと思い出したのだ。
イルミの腕は変に腫れ上がっている。
折れているのだ。
小走りにイルミまで駆け寄ると、そっと右手を手に取る。
「なに?」
不思議そうにしているイルミを無視して、その手に集中していく。
「……」
イルミが不思議なものを見る様な目でを見下ろしている。
「直ったかな」
覚えたての魔法だし、少し自信が無かった。
「ああ、直ってる」
イルミは不思議そうに自分の手を見ると、またに視線を
戻した。
「これも魔法?」
「うんそう」
また手を見ているイルミから、そっと手を離す。
「じゃ、あんまりキルアを束縛しないようにね」
「……してるつもりないんだけど」
呟くイルミの言葉は聞き流し、ゴンに駆け寄る。
「……ゴン!」
ゴンが急に話しかけられ、目をクリクリにしてを見つめてくる。
「キルアにボドロさんの事教えてあげてね!」
「うんっ!」
元気に頷いてくれる。
「クラピカにレオリオ、無責任だけど、応援してる!頑張って!!」
色んな意味を込めて手を振った。
2人も戸惑っているみたいだが、そっと手を振り替えしてくれた。
満足だ。
急いでダンブルドアとリドルの元に駆け戻った。
リドルから目を逸らし、ダンブルドアに頷いて見せる。
「ごめんなさい、もう大丈夫です」
「うむ、それじゃあお別れじゃ」
いっそう輝く魔方陣、その光が包み込むように三人の周りを取り囲んだ。
再び、ダンブルドアが現れた時の様な光が室内を満たしていく。
「これは少しばかりのお礼じゃ」
声だけが響き、それからどれだけ経ったのか、光が収まると、
3人の姿は無く、天井から大量の飴や、カエルチョコが降り注いだ。
「ほぅ……」
ネテロが楽しそうに笑った。
+++++
はそっと目を開いていく、光は徐々に収まって、視界が
段々とはっきりしだした。
「……ホグワーツ」
其処は見慣れた場所。
ホグワーツの大広間だった。
