混合夢15.2

〜五次試験開始〜










ボコボコだ。

それ以外に言い様が無い。そんな場面が目の前で繰り広
げられている。


見ているこっちまで痛々しい気分になって来る。

少し離れた位置に居る、レオリオとクラピカは今にも飛
び出して行きそうな程に目が血走っているし、握られた
拳は、明らかに手のひらを傷つけて居る事が容易に分か
った。



「うぅ、貧血起こしそう」


ボソリと呟いた声は、どうやら周りに良く響いた様で、
クラピカが心配そうに振り返った。


「女性には少しキツイかもしれないな、大丈夫か?」


「つらいなら外で待ってた方がいいぞ?」

レオリオもゴンを気にしつつ、へと視線を向
けてきた。


その時だ。


ゴンの声にならない叫びが会場に響いたのは。



「さあ、此れで左腕は使い物にならねェ」

ハンゾーの声が嫌に大きく会場に響いた。


隣のレオリオもクラピカも、憤りで顔が歪んでいる。


もこれにはショックを隠せなかった。

漫画で知っていても、現実とは違うのだ。
今にもブラックアウトしそうな視界を必死に保つ。


リドルはそっと後ろから支えてくれている。


「今のお前が俺に勝つ術はねェ!!」


忍者自慢?を繰り広げるハンゾーに、忍者ぽくないなぁ
なんて感想を抱きつつも、やっぱり今痛みに耐えている
ゴンを見れば、やはり忍者か……そんな風に思えた。

漫画を読んでいるときにはそう感じていたのだ。

が、今のは意識を保つので精一杯だった。




「素直に負けを認めな」


其の言葉を呟いた瞬間。
ハンゾーに向かってゴンが勢い良く蹴りを繰り出した。



間抜け何格好でスッ転がるハンゾー。



此処から形成が逆転し始めた。




隣ではヒートアップしたレオリオがガミガミと叫んでい
る。
もちろん、も応援した……心の中で。



今叫ぶ元気は皆無と言って良い。


そう言っている間にも、会場を笑わせる。
と言うか、和ませてるゴンの発言が会場に響く。



「足を切られちゃうのは嫌だ!でも降参するのも嫌だ!!」

ヒソカまで笑っている。

やっと回復しだしたも、思わず笑顔になった。

こんなゴンだからみんなに好かれるのかもしれない。



それも、ハンゾーがゴンに剣先を突きつけた事で再び
空気が張り詰めた物になった。


それでもゴンは変わらない。


真っ直ぐな目をしてハンゾーを見据え、透き通った真っ
直ぐな声で呟いた。


「親父に会いに行くんだ」



みんな固唾を呑んで見守っている。




「もしオレが此処であきらめたら、一生会えない様な
気がする」



「だから引かない」





もう勝負は決っていた。









「まいった、オレの負けだ」



ハンゾーの負け。


この勝負はゴンの勝ちとなったのだ。



はほっと胸を撫で下ろした。
リドルはが倒れなかった事に胸を撫で下ろし
たのだった。









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