気弱な彼女07








「いったぁ〜〜〜〜」

尻餅で落ちたためお尻がジンジンしている。

まったく踏んだりけったりだ。

腕をひねられた上に、階段落下。これもヒソカの所為
だ!は今すぐにでもヒソカにパンチした
い気分になってきた。

だが、尻餅のおかげか、他の場所は擦り傷がいくつか
出来ているだけのようで、チリチリとした痛みがするだけだった。

は暫く目を閉じたまましゃがみ込んでいた
が、だいぶましになった痛みに、やっと周りの気配に気がつくことができた。




誰かが見てる?



フェイタンだろうか?それとも、落ちてきた侵入者に
近づいて来た旅団だろうか?

フェイタンなら落ちた原因なのだから、助け起こして
くれてもいいのに。



などと考えてみるが、ヒソカにパンチも、フェイタン
に手を差し伸べてもらうことも、小心者の
には、自分から言うことも、やることも考えられない事った……。


たまにする事もあるが、今日はヒソカに捨て台詞を言
った事だし、また明日チャレンジしよう!





はそう心でつぶやくき、ゆっくりと目を開け
ていった。






「……えっ?」







ごみごみごみゴミの山。



ここは、ドコですか?


階段の下はゴミ捨て場?






呆然と眺めていると、今の視界が左の方から送られて
いるのに気が付いた。


だれなのだろうか。





「……」





きになって、こちらも負けずにじーっと見つめている
と、隙のない動作で1人の男の子が現れた。







「かっ。かわいい……」



言ってしまった……。

は小声でつぶやくと、慌ててごまかすように
口をもごもごさせて、こんにちわなんていってみた。



でも、その子はそんな事気にすることなく、ゆっくり
の所にやってくると。







「お前ここで何してるね?」


そうつぶやいた。





うわァ〜。
どこか聞いたこの台詞。






それはもう無意識というか、目の保養というか。

は穴が開くほどその子を凝視してしまった。



+++


その時。

間抜けな顔で固まったの頭の中を、もの凄い
勢いで疑問が駆け抜けていった。


ここはどこ?

第一、あの階段の下がアジトだつたのでは無いのだろ
うか?

ならここがアジト?

イヤイヤイヤイヤイヤイヤ、そんなバカな!?


しかも、このフェイタンミニチュアバージョンは誰な
のさ?


はフェイタン似の少年の問いに答える事も
忘れて考えこんでいて、少年が近づいて来ている事を
まったく気が付かない。
というより。
意識の端では感じても、呆然としていて考えがまとま
らないのだ。
そんなも、段々と近づく少年が、1メートルをきった所で、やっと少年に意識を向けた。

「お前何者ね?お前も捨てられてきたか?」

「……」

「頭足りないか?早く答えるいいよ」




だんだんと苛立ち始めた少年は呆れたようにため息を
ついた。

何だか分からないけれど、せっかく話しかけてくれて
いるのだからこのまま無言ではいられない。と言う思
いが、思考の中を漂っていたの脳を再起動
させた。


の思考はやっと軋みながら活動し始め、慌て
て言った言葉は……。


「かわいいですね……」


「……」


「……」


「ごっ……ごめんなさい!今のは間違いです!
捨てられたかは分からないです!階段落ちたらここに居
たんです!!」


無言の少年に、は大慌てで首をブンブンと
振って否定すると、取ってつけたように先ほどの質問
の答えを口にした。

ついつい、無意識に言葉が出て、かわいいですね何て
言ってしまった自分が憎たらしい。

は慌ててもう一言付け足した。

「その、あっちに落ちてるペンダントがかわいぃな
ぁ・・・。なんて・・・」


「理解不能ね」


それに対しての少年の言葉はただこれだけ。





+++


母上父上、何なんでしょうこの状況って……。

は呆然と中を見つめて固まっている。


あのあと、どう見てもフェイタンにしか見えない少年
と連れ立って、(連れて行かれた)たどり着いたのはゴ
ミの中に建った一軒の家だった。


の予想では。

もう予想を通り越して確信に近かったけれど。


ここは幻影旅団の子供の時代なのではなかろうか?


来る途中に見かけた景色は、本の中に画かれていた場
所にそっくりだ。


それに、階段下がこんな場所につながっている事自体
摩訶不思議だ、この子がフェイタンに瓜二つな事や、
しゃべり方、連れて来られる途中に言っていた言葉。
それを聞けば、もっと摩訶不思議な考えにもなると言う物だ。


ここが昔の流星街だと感じるほどの頭の中身
は萌一色だった。

でも、結論を出すのは確かめてみてからでも遅くは無
い。

名前やこの場所については、聞けばおのずと分かって
くる筈である。







この家についてから、進まされるままにイスに座って
いたに少年が口を開いた。




「お前はワタシが拾ったからワタシの物ね」





「・・・・・・・」



は引きつった笑顔で忙しなく目線をぐるぐる
と移動させていく。





「えっー・・・・・・っとあの、ここはドコなのでしょうか?」





わけが分からないので取り合えず気になっている事。



というか、現状確認のために一番大事かもしれない事
を聞いてみる事にした。




なんとかごまかせれたら・・・。






「・・・ここは流星街呼ばれてるとこね」




ここで、何も知らない人ならば・・・でドコ?となる所
だが、にはこれで十分だった。

さっきの考えに自信をもってニヤニヤしてしまいそう
になる。




「で?ワタシの物になるか、ここで死ぬかどっちね?」






「……」





(取り方を変えれば萌な発言かもしれないけど・・・!!!)


わけが分からない。は自信たっぷりだった
自分をパンチしたくなった。




そんな事より、「「ワタシの物」」についての意味
を考える方が先だったのだ。





話がすりかわってごまかされるかと思っていた



あくまでの妄想だ。




ヒソカに対するときの様に油断してはいけなかった!





(ってか意味がわかりらないですがぁぁぁぁ〜〜〜〜〜)



の言葉にならない叫びがあたりに響きわたった。





明日はどっちだ!








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