気弱な彼女06








は暗〜い路地裏を一人ヒタヒタと進んでは
振り返るを繰り返して進んでいく。

そのせいか、首が痛くなってきた気がする。

首を撫で付けながらもう一度振り返り、溜め息をつい
た。

地図の通りであれば、この辺りで合っているはずなの
だが、言われた建物はまったく見えてこない。

暫くこのあたりをうろついて探しても良いけれど、
あまりうろうろして怪しまれたりしたら、問答無用で
襲われそうで・・・。

しかし、そうも言ってはいられない。
辺りを見回して上から下まで隅々を凝視していく。

「ぎゃっ」

ついつい建物に気を取られていて、足元の瓦礫に気づ
かず、よろめいて尻餅をついてしまった。

「いった〜〜っ」

と、それがラッキーだった。尻餅をついた目線の先に
は、ヒソカにもらった地図に付いた目印と同じものが
ひっそりと存在した。

なんとも、解りづらい目印である。


不親切にも、崩れた瓦礫が印の形をしているなんて、
思いもよらない。

は、心の中でヒソカに悪態をついてのっそり
と起き上がった。





覗き込んだそこは、廃墟だけあって電気も無く真っ暗
で、降りていけば足もとも見え無そうだ。

顔をしかめてみても、良いよ行かなくて。
なんて、ヒソカが言うはずもない。第一ここにはいな
いのだ。


いやいやながら、ゆっくりとした足取りでその入り口
に近いて、抜き足差し足で階段を下り始める。
が、
なんだか嫌に足音が響いている様に感じる。




「怪しい奴ね」




その言葉を聞いた瞬間。

は可笑しい位に氷ついた。



まったくもって予想どうりの展開に泣けてきちゃうよ
ママン・・・。



・--------------------------------------・




「ここで何してるね?」

「・・・・・・・・・・・・・・」



怖い・・・。

何とも言えない圧迫感が、へと迫ってくる。

これが、殺気。

ヒソカが怖い怖いとは言っても、全然本気なんか一ミ
クロンも出してなかった。分かってる気でいたけ
ど・・・。



こんなに、怖いだなんて。





でも・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。





あのかわいい生物抱きしめたくて仕方ないです。




「何黙ってるね?答えないなら・・・」




「・・・・・・・っ!!!!!!!!!」


フェイタンは一瞬にしての目の前から消え、
気づけば後ろから腕を押さえこまれ地面に押し付け
られた。




「待って!!ヒソカからの使いで来たんです!!!」


「・・・・・証拠ないね、うそ付くと殺すよ」


その間にもギリギリと腕をつかまれ、腕がジンジン
してくる。
念で守らなければもっと痛い・・・。
もしや折れてるかも・・・・・・・・。


自分の想像に顔を青くさせ、慌ててヒソカの
トランプに目をやった。

さっきの衝撃で明後日の方に落っこちている。

「あれっ!!あのトランプ!!!!!ヒソカが証拠にって」



は早口でまくし立て、トランプを凝視した。



トランプに気が付くと、


「・・・確かにアレはヒソカの念ね」


フェイタンはつまらなそうにの上から退くと
、トランプを拾いあげ、嫌な物でも見たと言う様に、
へと投げて寄越した。



「うきゃ!!!!」


そんな事予想していなかったは、一歩あとず
さり、後ろが階段な事に気づくと慌てて階段を振り返った。


「なっ・・・・」



その拍子に、足を滑らせ尻餅を付く格好で勢い良く
下まで落ちていった。







                     txt_44_back.gif  txt_44_top.gif  txt_44_next.gif