気弱な彼女27
何時の間にやら取り上げられていたらしい携帯は、ヒソカの
手の上でクルクル回っている。
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あの後、心配しているであろうフェイタンへ連絡を取ろうと、
携帯がある筈のポケットへと手を忍ばせたのだが……。
まるで、そこには最初から何も無かったように、ポケットは
空になっていた。
何気なく視線を上げれば、ヒソカの手中にと収められた目的
のモノ。
「ああっ!」
慌てて手を伸ばすが、取れるわけも無く、スカっと空を切ったの
手は、パタリと床へたどり着く。
そのまま其処にしゃがみ込み、ヒソカを見れば……。
楽しそうに携帯ストラップほ指で回していた。
「ヒソカ返してってば!」
再チャレンジとばかりに飛びつけば、これも又難なくかわされてしまう。
再びスカリと空を切る手がむなし過ぎる。
「フェイタンに連絡しないと、きっとカンカンに怒ってるよ」
なんとか情に訴えてみようと、真面目に頼んでもみるが。
それに対し返ってきた言葉は……。
「ダメ★連絡なんてしたらバレちゃうじゃないか◇」
そんな調子で、一向に携帯を返してくれる様子さえない。
「ええっ!」
なんて理不尽なんだ。
ヒソカにとってはが怒られるのなんかミジンコほどにも
良心が動かないらしい。
「じゃあ、公衆電話は?」
それなら平気では?
何処にあるかすら謎だけど。
ヒソカなら知っているだろう。
期待して尋ねるが……。
「ダメ☆」
これも却下。
「なら……なら、ヒソカの電話は?」
「もっとダメ◇」
「うううぅぅぅぅぅっ」
本気で泣けてきた。
その場で大の字になると、うつ伏せになり、は必死の
抵抗を試みる。
フェィタンが怒ると凄く怖い。
普段はあんなに可愛いのに、怒った時は空気から凍りつきそう
な程になるのだ。
それはヒソカだって怖いが、今はオーラも柔らかいままだし、
の危険察知レーダーにはまだ大丈夫のランプが点っている。
「ハンタ試験会場に入ったら、連絡してもイイヨ★」
「本当!?」
「ああ、試験さえ始まれば、いくら旅団でも追跡は難しいだろ?」
ガクリと肩が落ちた。
どうあっても試験は受けなければならないらしい。
「アリガトウ」
片言でお礼しを言うと、近くのイスに寝転がった。
不貞寝してやる!!
