店内は、店主、フェイタン、ヒソカの三人。
客の姿は見当たらない。
中々可愛らしい店内の装飾には、かなり不釣合いな組み合わせだ。
キッチンの方からは、ポコポコと音がしており、コーヒーの
いい香りが店内を満たしていた。
気弱な彼女26.2
外にを待たしているというのに、ヒソカはフェイタンの
邪魔になる様な事しかしなかった。
今も、何を考えているのか、フェイタンに向かってトランプ
を投げてきた。
トン
軽い音を発て、ソレは床へと突き刺さる。
そんなヒソカを完全に無視して、フェィタンは店主を見た。
ヒソカは今度は、勝手にコーヒーとケーキを食し始める。
「おいしい♪」
「……っ」
それでも、何とか早く仕事を終了させ様と、フェイタンは今まで
で一番やる気を出した。
そう自身で思うほどの勢いが、今日のフェィタンには有った。
そのかいあってか、目の前の店主はもう直ぐ次のターゲット
の情報を言うだろう。
「くっ……」
目の前の店主を、何の感慨も無く見下ろし、冷たい目で
睨みつける。
「早くするね」
こんなフェイタンをが見たら、如何思うだろうか、フェィタン
は絶対こんな自分をに見られたくない。
イライラする。
こんな事を考える原因を作った、ここに居る2人を今すぐ
殴ってしまいたい。
今日の任務は、穏便に済ますつもりだが、こう抵抗され、
一応の仲間まで役立たずなこう言う状況では、何時まで我慢
出来るか……フェィタンは自信が無かった。
むしろ、此処まで我慢できた自身が凄いと思う。
外でが待っていると思わなければ、店主では無く、
『ヒソカ』を特に攻撃してしまいたい。
「……わかった。在り処を示した地図はお前らに渡そう」
この言葉がフェィタンの任務終了の合図になった。
正直、ヒソカが居ない方がやり易かったと思いつつ、ヒソカ
を睨みあげた。
「……★」
まあ、ヒソカを睨んだ所で、時間の無駄だ。
割り切って、さっさと地図を手に入れることにする。
「ささと案内するね」
店主を無理やり立たせると、前に突き飛ばした。
+++
地図も手に入れ、いざ帰ろうとしたとたん。
ヒソカの携帯が、気の抜ける音楽を店内へと響かせた。
「……クロロみたいだ☆」
渡される前に、その携帯を引っ手繰ると、フェイタンは素早く
通話ボタンを押して、耳から少し話した場所へと持っていった。
「……任務は終了ね」
「それじゃあ、僕は先に帰るよ★」
ヒソカは、フェイタンの返事も待たずに歩き出していた。
「携帯はまた取りに行くよ♪」
フェイタンも、ヒソカなんて見ようともしない。
ニヤリと笑い、ドアの外へと去っていった。
+++
気がついたら、はヒソカの脇に抱えられて、飛行艇の中だった。
「フェイタンはっ!?」
気がつき、必死に詰め寄ったが、ヒソカは笑みすら崩さない。
窓の外には、雲しか見えない。
一面の青空。
「フェイタンかい?フェイタンなら僕の知り合いからの電話を
クロロだと思って、電話で話してるんじゃないかな?」
まあ今頃は気がついてるかもしれないけど。
ヒソカはそう付け加えてニヤリと笑ってみせる。
完全楽しんでいるその様子に、はクラクラしてきた。
手の力が抜け、ヒソカから手が離れる。
「じゃ、じゃあ最初の電話も?」
おそるおそる口を開けば
「いや最初のは本物さ、大方はに手を出すなって話だったよ★
まあ最初は驚いたけど、これは使えると思ったんだ、運良く
知り合いが暇で助かったよ★」
不適な笑みが帰ってくる。
「……っこっこれからどうするの?」
バクバクする心臓をなんとかおさえ、ゴクリと唾を飲み込んだ。
「は今から僕とハンター試験を受ける事に決まったから」
「……」
「……◇」
「えええぇぇっ!?」
かなり嫌だ!
あんな所には進んで行こうと思わない。
「今から追いかけても、フェイタンが追いつく前に試験会場に
ついてるよ♪」
ヒソカの楽しげな声がの耳にこだました。