気弱な彼女25.2












「ほら、警戒するのも分かるけど、僕は操作系じゃないから
携帯で君をどうにかなんて出来ないよ★」


そう言われ、フェイタンがしぶしぶ携帯を受け取った。

あまりヒソカに触れた無いらしく、穢れたものでも触るように
その携帯を摘み上げ、耳から少し離れた位置で手を止める。


何だかそれが可愛らしくて、は、こぼれそうになる笑いを、
ゴクリと飲み込みやり過した。

なんとか気を取り直し、携帯からの声を聞こうと耳を済ませ、
クロロの声をジッと待つ。

……が。

携帯ごしに、クロロの声だと分かる物が、モレる様にして聞こえて
くるものの、の元に届くまでには空気に霧散して、何を言っているか
までは聞こえて来なくなってしまう。


出てからそんなに経っていないのに、何の用事だろうか。
分からないと余計に気になってくる。


は注意深くフェイタンを伺いながら考えた。


でも、そんな事では全然わからない。

フェイタンは、電話の声に言葉すくなに答えるだけで、さっぱりで。

ヒソカを見ても、何を考えてるのか分からない顔でを見て
いるだけで、何も教えてくれそうに無い。


フェィタンを見、またヒソカへと視線を向けると思いっきり
目が合った。

ニヤリ。


何時もの笑みで返される。


「……っ!」

ビクリと跳ね上がると、慌てて視線を切り離した。


何故か、動いてもいないのに、ジンワリと汗が出て、息切れが
するのは気のせいではないはずだ!

気のせいであって欲しいが、気のせいじゃない。



「スゥ〜ハァ〜」



何とかその場に踏みとどまり、大きく深呼吸。
幾分か落ち着く気がして、何度か深呼吸を繰り返した。


と、ちょうど良くフェィタンが携帯きって、そのまま携帯を
ヒソカに投げつけた。

その瞬間ヒソカの視線が外れ、代わりにフェイタンと目が合う。

そんな些細な事に盛大に感謝しながら、は落ち着いてフェィタン
の言葉を待った。





「ヒソカとワタシの二人で、ここから直ぐ近くの町の、喫茶店
に行て来い言てるよ」


「えっ!?」


は喫茶店の前で待機しとく事言てたね」



何か自分には見せたくない仕事なのだろうか?
そんなの疑問に気がついたのか、フェィタンが続けた。


「次の標的のありか、その喫茶店の主知てるかもしれないね」

「なるほど」


手荒なことでもするのだろうかか?

「へぇ★」


あんまり乗り気では無い二人に比べ、ヒソカが楽しそうに
笑顔を見せる。


「ちょうどやり合いたいと思ってたし、その人が強いとイイんだけど♪」



「……も居るのに騒ぎは大きくしたくないよ」


忌々しそうにヒソカを睨みつけ、フェイタンがの手を取った。



「ささと終わらせて、もうホーム帰るね」



そのままヒソカには何も言わず、フェィタンは跳ぶように駆け出した。







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