視線が痛い!!
痛すぎだ!









気弱な彼女23.2












、もしかしてヒソカと住んでるの?」

シーンと静まり返った中、さっき知り合ったばかりのシズク
が、最初に口を開いた。

暢気な声音が、その場の緊張感を少しだけ和ませる。


「うん……拾われたの」

その場の雰囲気に救われた気分で、この一言を口にした瞬間。
は即座に後悔に襲われることになる。



一瞬のうちに、ブリザートの様な物が体を通ったような錯覚
に襲われ、慌てて口を閉じる。


「へぇ……じゃあヒソカと暮らしてたんだ」



しかし……

口を閉じた甲斐も無く……見事シズクの天然爆弾が炸裂した
のだった。





「……



フェイタンの低い声に、ビクリと体を竦ませ、ゆっくりと
ブリキのオモチャの様に振り返る。


「なっ何?」

「今日からは何処で暮らすね」


「……えっ?」



「……」



フェイタンの言葉に慌てて周りを見渡せば、ほぼ全員の目
がこっちへ向き、同じ疑問を投げかけていた。



「うっうぅ……」





此処に、みんなと居たい気持ちでいっぱいだ。
フェイタンと暮らしたい。



でも……ヒソカは?


ずっとずっとお世話になっていて、突然サヨナラなんて。
ヒソカの性格からして、あまり気にしないとも思うが……
にとっても複雑な心境だった。


いくら普段、怖い怖い言っていても、ヒソカはにとって
お師匠なのだ。
信頼している。
居ないと寂しいとも思う。


フェイタンは……家族だ。
旅団のみんな、クロロ、シャルナーク、ウボォー、ノブナガ
にフランクリン、フィンクスに、マチ、パクノダ。
はエセ師匠だけど、弟子は弟子。
可愛くて、それでいて頼りになる友人だった。

大人の皆も……にとって変わらずそうだと思っている。
『さっきまで』と変わらずに居たいと願う自分が居る。




「今は……混乱してて、如何したら良いのかわかんない」



ピンと張り詰めた空気に、自分の声が反響するのを聞いて、
いっきに心臓が鳴り響く。


「……でも、此れだけは決めてる。一回はヒソカの所に戻
らなくちゃ……」



「……っ嫌ね」


フェイタンがはっきりとした声で、否定の言葉を洩らす。

「あんな危ない奴と一緒なんて……」


それを繋ぐ様に、マチが口を開く。


「そうね……此処にいたら、に何も不自由はさせないわ」

パクノダも、そっと諭すようにの手を取った。


「そうだな……俺たちのホームなら安全だ、誰か1人残して
行けば、ヒソカ対策になるし」

クロロが思案するように、呟く。

それをきっかけに、みんな一斉にの説得に掛かった。

そうだそうだと頷いて、に詰寄ってくる。


「でっでも!此処で暮らすとしても、ヒソカを待ちぼうけ
には出来ないよ!」

は、後ずさりながらも、此れだけは言わねばと大声を
あげて、みんなを見渡した。



「だから……ヒソカに報告しに一旦かえらなくちゃ」







フェイタンがの手を取る。


「フェイタン……絶対帰ってくるから。また突然消えたり
しないよ」


「……その目、意外とは頑固だから言っても聞かないね……」


大きな溜め息が疲れる。


「此処にヒソカを呼ぶか、ワタシも一緒に連れて行くかで
妥協するね」



「……えっ、ぇぇぇええ!?」




は思わず大声を上げていた。







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