「ヒソカがね、此処来れないって」
そう言った瞬間の空気は、なんとも言い表しがたい雰囲気
だった。
気弱な彼女23
全員の記憶が戻った後、残りのメンバーにも紹介しても
らった。
興味が無さそうな人から、興味津々な人まで、1人1人と
自己紹介をして、ほっと一息。
フェイタンは、結構静かで、ジーっとこっちを眺めて居る。
はみんなを見回した。
落ち着いて見れば、みんな大人になっていて、少し寂し
い気分になったが、それと同時に暖かい気持ちでいっぱ
いになった。
「みんな大きくなって……特にマチとパクノダ美人!」
「もうっ何言ってるの、の方が可愛いわ」
頭を撫でられ、慌てて口を開く。
妙に照れくさいのも、ついさっきまで、自分のが大人だ
と言う気分で居たからかもしれない。
「嬉しいけど、絶対マチとパクノダのが可愛いし美人だよ」
「照れるだろ?」
マチがそっぽを向き、ポリポリと頬を掻く。
ほら、可愛い。
そう良いそうになる口を押さえ、は自分より
背の高い2人の頭に手を置いて、クシャリとかき回した。
「だってさ、私にしたら、大きくなってもみんな可愛いもの」
「おいっ、独り占めするなよな!」
良い雰囲気をぶち破って、ノブナガが割り込んできた。
「……ノブナガも可愛いよ?」
ついつい、子供のときのノブナガを相手にするつもりで、
頭を撫でてあげ、苦笑する。
背が高いし、しっかり大人だなぁ……。
はしみじみした気分を吹き飛ばすように、も
っと頭を撫でてやる。
「だぁ〜そうじゃなくって、色々話そうぜって事だろ」
「分かってるけど言っただけ!」
クスクスと笑えば、変わってないな。そう言って、ノブ
ナガも笑い出す。
「そうだ」
笑って見ていたシャルナークが、思い出したように声を
あげる。
「何?」
「の話じゃ……子供の頃の俺達と会う前は、
この時代に居たんだよね?」
「うん」
「ならさ……何か用事が合ってこの辺りに居たの?」
「あっ……」
其処まで聞かれて思い出す。
伝言を言わなければ!
「ヒソカがね、此処来れないって」
ふっとフェイタンに視線を向ければ、今思い出した様
で、顔を歪ましたのをバッチリ目撃した。
「……チッ」
舌打ちも聞こえてくる。
此処で事情を話したのはフェイタンだけだ。
説明してくれないかな?
他力本願な事を考えたが、フェイタンはそれどころでは
無いようだ。
「ヒソカ?」
今まで、瓦礫の上でこっちを眺めていたクロロが、一番
最初に聞いてきた。
フェイタンは……。
「ヒソカ……最初から気に入らないおもてたね……」
めっ……。
目がギラギラになってます。