気弱な彼女22.2











まず最初に動いたのはシャルナークだった。

眺めていたらしいパソコンを閉じると、すっと立ち上がる。

「フェイタンがこう言うんだ、何かあるんでしょ?面白
そうだよね」


爽やかな微笑みを浮かべると、の方へと近づ
いて来た。

シャルナークは、の側まで警戒する事も無
くやって来ると、直前で立ち止まりにっこりと笑顔を
浮かべる。


「そんなに緊張しなくたって、別に取って食ったりしな
いよ」

ねっ、可愛らしく髪を揺らし、笑みは崩れるとは無い。


そうも和やかなのは、が何かしても絶対対処
仕切れる自身が有るからだろう。
確かにその通りなのだが……。

シャルナークは、の顔を確認すると、そっと
手を差し出してくる。


そして、そっと手を握り締めた。




暫し、沈黙が流れると、フッと息を呑む音が聞こえた。




シャルナークは、顔全体に困惑を浮かべた後、目を見開
き、に飛びついた。






!!」




「わわっ」



よろけるケイを支えると、シャルナークはもう一度声を
あげた。



「嘘みたいだ!」




「思い出したの、シャルナーク?」




「うん、バッチリだよ!」


なおもを抱きしめ、今にもクルクル周り始め
そうな勢いだ。

後ろでは、フェイタンがイライラと視線を送っている。
が、シャルナークは何処吹く風で、気にすることも無く
笑っている。


「あっ……みんなも早くに触ってみなよ」


ひとしきり抱擁し終えると、思い出したように、みんな
の方に視線を向け、をみんなの方へと押し出
した。


「えっ?」


慌てて振り向くけれど、フェイタンもシャルナークも
視線が行けと言っていて、助けてくれそうに無い。



「えっと……宜しくお願いします」


何となく、みんなの方にお辞儀をすると、一気に部屋の
空気が呆れた空気に包まれたのだった。




「……何か変な事いったかな?」





+++++




結局、2人がまだ触ってないみんなを連れてくると、
順にみんなが触っていく。



フランクリンは、思い出すと直ぐに頭を撫でてくれた
し、パクノダとマチは泣きそうになり、ノブナガとフィ
ンクスとウボォーの3人はグリグリとの髪の
毛をかき回して何処行ってたのかと疑問をぶつけて来
た。



それを見ていた残りのメンバーは、普段見ることの無
いその様子に目を丸くしていた。



そして……残りはクロロ1人だ。


クロロはゆっくり立ち上がり、無表情の団長の顔で
の前までやって来ると、そっと手を伸ばし
てきた。


触れた瞬間、部屋全体が静寂に包まれ、クロロの表情が
徐々に変化していく。



「……っなのか……?」



感情を押し殺した様な声で囁くと、そっと
を引き寄せた。



「すまなかった、俺のせいだ」



すまない



その言葉に、この場にいた事情を知らない全員が目を
見開いた。


『団長』のクロロがこんな小娘にこんな事を言うなんて
……。
そんな視線だった。



「クロロ、全然気にしてないよ、それに……私の方が
申し訳ないもの……私さっきまでみんなと居たの。
まだ一時間も経ってない。フェイタンに注意されたの
に触った私がいけなかったの」


だから気にしないで。


は出来得るかぎり最高の笑顔を浮かべて、
クロロの事を抱きしめた。







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