気弱な彼女21.2











どのくらいそうしていたのか、はフェイタン
からそっと離れた。

暖かい体温が離れていくのに、心の奥の方まで寒くなっ
た様な錯覚に陥る。


「えっと……」

何だか気恥ずかしくて、誤魔化すように苦笑いを浮かべ
てぽりぽりとホッペを掻いてみる。




「さっきぶり?」


こんな変な言葉しか出てこない。
間抜け。
なんて間抜けな言葉か、自分の言葉のボキャブラリーの
無さにほとほと呆れてしまう。


「それを言うなら久しぶりね……」



そんなに一瞬表情を緩くしたフェイタンだっ
たが、真剣な眼差しで聞いてきた。
すっと空気が変わる。


「……はずと、何処いてたか?」


様々な感情の入り混じったような声音だった。




そう……。


フェイタンにとってはさっきの事ではない。


ずっと……。



ずっと前の事で、なんかよりずっとショック
だったはずだ。
突然に消えて、どれだけの時が過ぎたのか。



一瞬の内に再開を果たし、離れていた感覚の無い
ですら、涙が出そうだと言うのに。

は、泣きそうになる目にぐっと力を入れて我
慢した。


フェイタンが泣いてないのに泣けない。





「……っさっきまで一緒だった」



やっとの事でその言葉を口に出来た。
今の出来事を説明する方法が分からない。


「此処で階段、落ちた先にフェイタン達が居て……本
読んだら……っ」


もう駄目だ、涙が瞬きとと一緒に零れ落ちていく。


訳が分からない。



それだけが心の中でグルグルし始める。


でも、フェイタンの声でハッとなった。




「悪かたね……が帰て来ただけでいいよ……」




「ふぅっ……」



何なんだろう。
小さいフェイタンにも、いつも元気を貰ってた。









あぁ……。

私はいつも助けられてる。


は今更その事に気がついた気がした。
それは、頭ではいつもそう感じていたけれど、心の奥の
底からそう感じたのだ。







この世界に来て直ぐに、あのヒソカに会うも助けて貰っ
て、修行は厳しくても見捨てたりしなかった。







今、ちょっと前までいたあの時にも……フェイタンが
居てくれた。
見付けてくれたのだ。




今此処でも……フェイタンが居てくれる。


でも……こちらから何か出来たことはあるだろうか?










「私って……凄く幸せだと思う」




は、泣いてる顔に一番の笑顔を浮かべていた。







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