気弱な彼女19










買い物から帰ってくると、フェイタンの家に皆で集まっ
ていた。
今日はみんなでご飯に決ったらしい。



も帰って直ぐにキッチンに入ってご飯の準備
を始めた。
後ろではワーワー騒ぐ声が聞こえ、前では鍋のコトコト
と言う音が鳴り、その音をBGMに手を動かしていく。



「マチとパクノダも向こうで休んでて良いよ?」


仕事で帰って来て疲れては居ないのかと2人に視線を送
った。
は買い物に出ていただけなのだから、その分
体力は余っている。
まぁ何故か修行なんてしてしまったが……。



「あと少しで作り終わるし」


ニカリと笑って鍋を指差した。


「そう?でもだって疲れてるだろ?」


「そうね、私達は慣れているし、実は疲れてないのよ」


2人は困った様に鍋と周りの料理へと視線を向けた。


「ん〜なら此処の出来上がったの持って行って、みんな
がつまみ食いしない様に見ててもらっていい?」


出来上がった料理は結構有り、キッチンが手狭になって
しまっている。
持って行ってもらえたら嬉しいのは確かだった。
それに、持って行くだけでは、絶対誰かがつまみ食いを
してしまう事は考えなくても分かった。


「……そうね、がそう言うなら……でも何か
あったら言ってね?」


「そうだね、此処で話しててもしかたない。お言葉に
甘えて向こうで待ってるよ」


了承してくれた2人と料理達を見送り、次ぎに調理する
材料を取り出した。




+++++





料理も完成し、みんなで食卓を囲む。
めったにする事は無いけれど、此処でみんなと仲良くな
ってから、何回かこうしてそろってご飯を食べていた。
普段はバラバラに此処に遊びに来ているため気がつかな
いが、部屋はかなりの賑やかさに包まれていた。


そんな陽気な雰囲気の中、誰かが今日の仕事の収穫の話
を始める。
すると、1つの本についての話になっていった。



「ねぇ、その本が今回の一番の目的だったの?」


「うん、何個か有るメインの獲物の内の1つだったんだよ」

シャルナークがスープを飲み干すと、資料の様な物を
手渡してくれた。


「へぇ」


「今回はその本以外は売りさばいちゃったし、何か団長
が嫌に気に入ってたから、みんな気になるんだ」


直も説明してくれるシャルナークに相槌を打ちながら、
クロロへと視線を向けた。
確かに、クロロの手元には見かけない本が収まってい
て、思わず凝視してしまう。

綺麗な装飾をされた表紙が、の所からも良く
分かり、そんなに高価な物なのかと妙に頷けてしまった。



「本当中々綺麗な本だね」


、そんなに気になるなら見せてもらってき
たらいいだろ?」

隣で聞いていたフィンクスが、顎でクロロを示した。

「もしかしたら、には見れるかもしれないし」

シャルナークもそれに頷き同意を示す。
それに変な事を呟いた。
見れるかもとはどう言う意味なのか。


「見れるって?」


「見せてもらえば分かるよ」

シャルナークがそう言った後ろから、フェイタンがイラ
イラとした表情で割り込んできた。
見て来いと言われ、その気になって立ち上がり掛けてい
は、立ったままフェイタンを振り返った。


「さきからシャルナークウルサイね、少し静かにすると
良いよ」


「フェイタン!急にどうしたの?」

「それに……、私はあまり見るのは進めないね」


「なんで?」

首をかしげて問い返す。


「あまり良くない気するよ」


「そっか……なら触らないようにして見せてもらってく
るね!」


そう言うと、返事も待たずにはクロロの方へ
と走り寄って行った。







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