気弱な彼女18










「それじゃあ、気を付けてな」

ノブナガと街の近くで別れると、早速街へとくりだした。

色々みて回った後は、あの喫茶店『道化師』へと向かう。

ヒソカと、其処で待ち合わせているのだ。
電話のやりとりでこの街に来ることが分かると、待ち
合わせ時間を言って強制的に電話を切られた。


ビビリの心情的に来るしかない状況にされたが、別に普
通に会わないかと言われても、嫌とは言わなかったのに。

はそんな事を考えながら喫茶店『道化師』へ
と足を進める。

最近電話で話したりしていたせいか、子ヒソカへの耐性
が出来たみたいだった。
今からの事を考えもまったく嫌じゃない。
所か、結構楽しみだった。

喫茶店へ着き、窓際の席へと案内され、ヒソカを待って
ボーっと窓の外を眺めていると……。



「やぁ★」

「ギャっ!」


乙女らしからぬ声を上げ、はおもいっきり跳
び上がった。
心臓が早鐘の様にバクバク音を発てて、手に持っていた
お水がビシャリと溢れ手に掛る。

「ひっヒソカ!」

きっちりとトレードマークのメイクに身を包んだヒソカ様
の登場だ。

は本当に面白いね◆」


ニタ


そんな効果音が出そうな笑みを向けられ、一瞬声に詰まる。

収まりそうだった心臓の音は、再びバクバクとなり始めた。
やはり、簡単に耐性が付くわけではなさそうだ。

まあ、逃げたくならないだけましではあるが。

「面白いかな・・・」

気が付けば前の席に座っていたヒソカを眺め溜め息を吐く。


「うん、面白いよ★」

「そうかな?」

曖昧に頷いて水を口にし、喫茶店のメニューを開く。

「ヒソカは何か頼む?」

「シペシャル闇オムライス。僕はコレにするよ、
食べる?」

「へっへぇ〜私は普通にオムライスにしようかな」

変な名前のメニューにされては堪らない。

慌てて遮り、店の奥に居たウェイトレスさんを手招きする。

「残念♪」

何故だか機嫌の良さそうなヒソカを無視して、自分のと
ヒソカのを早口で頼んでしまう。


クククククククク★

まさにヒソカ特有の笑い方に、ビクっとなる。
捨て台詞を吐いて飛び出してきたその時の、ヒソカの顔
が脳裏にすーっと浮かび上がった。

「うぅぅぅぅ」

帰った日にはどんな事が待っているか……。
目の前のヒソカを見て大きな溜め息を吐いた。
怖すぎだ。
きっとトグロの様に渦を巻いた笑い声が絡み付いてくる
に違いない。

「どうしたんだい◇」

「何でもないよ」

「ふ〜ん……ならそう言う事にしておいてあげるよ★」

「アリガトウ」

渇いた笑みを浮かべてコクコクと頷いておく。
空気と言うか、雰囲気と言うか……。
やっぱりヒソカはヒソカだなぁ。
なんて再認識してしまった。






「ふぅ、食べた食べた」

結構なボリュームのオムライスを食べきり、商店街をブ
ラブラとヒソカと歩いていく。


「ねぇ、もう少し時間あるんだろ★」


「うん」


「ならさ、僕と手合わせしない♪」

「嫌だ」


即答だ。
即答に決っている。


「イイじゃないか◆減るもんじゃないだろう?」


嫌な物は嫌なのだ。
ヒソカとなら減りそうで物凄く嫌な感じだ。


「ぜぇ〜ったいに嫌!ヒソカとなら減りそうだもん」


「ククク残念だな★なら一緒に修行しないかい?」


「それなら……良いかな?」


手合わせよりはずっとましである。


「じゃあ、街を抜けた先の森に行こうか◇」

「OK!」


「駆け足で、ね★」


「ええぇぇぇ!」



++++++



クタクタだ。

の足腰は、ヒソカとの修行をしていてた時ぶ
りに疲れ果てていた。


「いつもこんなに修行してるの?」

「まぁね★」

まだまだヒソカは平気な顔で立っていて、汗すら掻いて
いない。
風はそよそよ吹いているし、深呼吸して落ち着くと、周
りは凄く綺麗な森だった。

木漏れ日もキラキラしている。
もう夕方なのか、オレンジ色が混じっていて、目に眩しい。


「……」


「……!!ヤバイ時間!ヒソカ、今何時か分かる?」

「4時にもう直ぐなるかな?」

ヒソカの声を聞いて、さーっと血の気が引いていく。


「あぁぁぁぁぁ」

「……★」


「急がなきゃ迎えが来ちゃう!」

はヒソカを引っ張って、街の入り口まで送っ
てもらいヒソカに手を振ると、慌てて待ち合わせ場所
である喫茶店へと駆け出した。







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