気弱な彼女16.2
「本当にごめん」
「わかれば良いよ」
そんなやり取りで終了したお説教の後、なんとか許可を
得た個別念修行。
その個別の念修行も今日で終了となる。
お日様はゴミの向こうに沈み始め、ジャンケンで負け最
後になったシャルナークと2人、近くのゴミに腰を掛け
それを眺めて居た。
シャルナークは飲み込みも早く、が教えた事
と言えば、ヒソカの受け売り話に、漫画で読んだビスケ
らの言葉を話して聞かせ、技のアドバイスの後少し念の
修行の様子を見てあげたぐらいである。
手合わせして上げられたら良いのだが、此処の子らは全
員念が無くともかなり強い。
あっと言う間に伸されるのはの方だ。
「こんなのでも役に立ったら良いけど」
みんなに言った事と同じ事をシャルナークにも言う。
と、大人びた苦笑がかえって来た。
「ずいぶん役に立った。 それに、教えて貰えただけで
十分だよ。 その事実が意外に大事だったりするんだ」
「……?」
分けが分からないが、喜んで貰えたらそれだけで十分だ
った。
はほっと息を吐いて、赤くキラキラした空を
見上げた。
「そっか、それなら良かったよ」
苦労してフェイタンを説得したかいがあったと言う物だ。
「そう言えば、は……いったい何処から来た
の?」
いつのまにかフェイタンの家に居て、いつのまにか馴染
んで居たは、意外に謎が多かった。
今まで誰も聞いていないのが不思議なぐらいだ。
自身も今聞かれて、何故聞かれなかったのか
と考えるぐらいに。
「ん〜……遠くかな。ずっと遠い、けど意外と近いのか
な?」
どう言えば良いというのか、未来から来たなんて言える
わけがない。
グルグルグルグルと頭の中の案をひっぱり出すけれど、
良い案は全く見当たらない。
「なに?自分でも分からないとか……」
「分かっているけど、解らない」
何処かは分かっている。
なんて言って良いのかが分からないのだ。
「ふ〜ん」
悩んだ末に出した答えでは不満らしく、シャルナーク
は不満げに見上げてくる瞳。
少し地面から浮いた足はぶらぶらと揺れ、不満たらたら
と言った感じだ。
「いつか解るよ。 私が教えなくても」
「今知りたいんだけどね……」
かわいらしく言われても言えないのだ。
「ワタシも知りたいね」
「フェイタン!!?」
突然の出現に、ゴミからずり落ちそうになり、慌てて体
制を立て直す。
「ワタシも気になってたよ」
「そうだな、気になるな」
今度は、砂利の音が何個か重なって後から現れる。
「みんなもっ!?」
突然の出現に声は裏返り、目も見開いて、みんなの顔を
見回した。
「言いにくい事かしら?」
パクノダが心配そうにを見た。
此処まで言ってくれているのだ、勇気を出して言ってみ
ても良いかもしれない。
「……未来から来た……なんて……」
「……」
「……」
これはノブナガだ。
気の抜けた様な声に、周りの緊張が一転した。
「本気で聞いてるのに、そんなに言いにくい?」
マチが溜め息を吐く。
「なっ、本気!!本気で言ってるのに!」
ポン
「フランクリンっ」
いい奴だ。
かなり良い奴だ。
ポンっとより大きな手が頭の上へとそっと乗
せられる。
「まだ言えないなら、無理する事は無い」
「ほっ本当なのに……」
いっきに騒がしくなった周りに、は大きく肩
を落とし、空を見上げた。
今日もの周りは大騒ぎだ。
