気弱な彼女16
あんなに大騒ぎした系統別の修行も、1人1人別個にする
という事で丸く収まり、納得していないフェイタンだけ
を抜けばみんな満足している様だった。
「ねぇ、今日の夕ご飯は何でも作るし、明日のおやつも
もちろん好きなの用意するから機嫌直して?」
オロオロとフェイタンの周りを回りながらお願いしてみ
るも、まったく効果なし。
イライラとそっぽを向いてしまい、かれこれ数時間。
は大きく息をついて蹲ってしまう。
「うぅ〜〜〜〜〜〜」
「……またく、何であんな約束するか?」
それを見たフェイタンがやっと口を開いた。
小刻みに足を慣らして、顔を服の中に半分以上埋めてい
る様子は、下から見ているからでもイライラ
とした空気を感じることが出来た。
しかし、此処でビクビクしていても始まらない。
そう決心して息を吸い込む。
此処に来て随分根性が付いたのもだ、自身に感心してしまう。
正し、『マシになった』と言うだけであるが…。
「……だってみんなも個別に集中して「そんな事関係な
いね!!またく、はみんなにあますぎよ」
そんな決心も意味も成さず、おもいっきり途中で遮られ
てしまう。
「そうかなぁ……」
もごもごと口の中で呟いた。
正直、フェイタンに一番甘い。
特に、自分自身にも甘い。
……もしや全てにあまいのか?
かなり落ち込むが、これが現状かもしれない。
「でもさ、フェイタンには一番甘いと思うよ?」
「はワタシのね、あたりまえよ」
「……」
堂々と言われれば、確かにとしか言えないが…。
は最近思うのだ。
最初は『物』あつかいだった。
最近は如何なのだろうか、『人』としての独占欲で言わ
れているのならかなり嬉しいセリフである。
苦い顔になりつつも、今はフェイタンの機嫌を直すのが
先決と思考を切り替え、一先ず先ほどの考えは引き出し
の中に収納しておく。
「みんなは修行したいだけだし、一日ずつだけだし」
「……一日ずつ言う事は、全員でいたい何日なるとおも
てるか!?」
逆効果の説得だったらしく、逆に怒らせてしまう。
心なしか足踏みの音が大きくなっていく。
「えっと……一日って言ってもお昼の修行の時だけだし、
いつもの修行とあんまり変わらないと思うよ?」
「……」
「その修行の間のご飯メニュー決定権は全部フェイタン
にして良いし」
まあ、今もフェイタンに聞いて作ってるけど……。
「ワタシ、そんなに子供ではないね」
「わかってるよ、全然私より確りしてるもの」
確かに。なんかよりはかなり大人だとは思う
が……今の態度はいつもより子供っぽい。
可愛いけれど。
かなり可愛いけれど。
フェイタンにぐりぐりしたい。
怒るから我慢してるだけで、本当に可愛いのだ。
「分かてるならいいね」
プイッと逸らされた顔も物凄く可愛い!!
は暫し固まると、物凄い勢いでフェイタンに
抱きついてしまった。
パサ
説得に使っていた献立メモを床に落とした音でハッと
我に帰る。
抱きついてしまった。
何だかイライラも落ち着いてきたみたいだったのに、此
れで振り出しになった可能性大だ。
「……」
「なっ……」
フェイタンの顔を覗けば、真っ赤にして固まってる。
そっと離れて目を見れば、気が付いたフェイタンの方か
らパッと離れられてしまう。
「ななななななっなにするかーーーー!!」
フェイタンの怒声が家中に響いたのは言うまでも無く。
その後の話合いと言えば……。
修行の説得話そっちのけで、が説教されるの
だった。
