気弱な彼女15.2
順調。
そう、確かに順調だった…はずだ。
朝目が覚めて、フェイタンと共に和やかな朝食を食べて
いる時、突然現れた子供達に目を見開いたのは数刻前。
みんながまだ何も食べていないと言うので、もう一度朝
食を作って出すと、自分も席に座って箸を持つ。
さっきまでとは違う賑やかさに、イライラしているフェ
イタンに苦笑で目を合わせ、たまにはこんなのも良いん
じゃ?とはもう一度笑みを浮かべた。
まわりは楽しげで、こうしていると本当に年相応で可愛
らしい。
「おかわり!!」
そうノブナガが言うと、フェイタンが不平をこぼし。
その隙に、クロロとシャルナークがお茶碗を手渡してく
る。
其れを見て笑っている女の子達。
もパクノダとマチと笑ってそれを眺めていた。
そう。
此処までは、完璧とは言えずとも順調。
其れが、食後にお茶を入れて部屋に帰ると…。
「ずりぃ!!」
「何言てるか!! ワタシの物だから、ノブナガに関係
ないよ」
「……何で喧嘩に?」
内心2人の剣幕にビクビクしつつ、そっと近くのシャル
ナークに忍び寄った。
「ぁ、。 話は単純だよ、フェイタンが先に念
の系統の話を聞けたって言うのが、ずるいってノブナガ
が喧嘩越しに言うから」
「あぁ、そう言うことか…」
ついついフェイタンに迫られ、教えてしまったのは昨日
の事だ。
「でも、みんなにも今から教えるのに」
「でもさ、フェイタンばっかり構ってもらってずるいっ
て思ったんだと思うよ。 あの後クロロも機嫌悪かった
し」
「クロロも?」
「うん、全体的にみんな不満げだったけど」
苦笑で付け足すシャルナークに、も苦笑で返
すと、意を決して喧嘩をしている2人へと近づいていっ
た。
「……えっと…そろそろ…止めて欲しいな……なんて」
こんな小声な訴えなどまったく聞いていない。
は大きく吸い込む。
「ヤ〜〜〜〜〜〜〜メ!!!」
ガシリと、フェイタンとノブナガの肩を掴んで真ん中に
押し入り、まず一息。
「ノブナガ!今から教えるから喧嘩は中止!!フェイタ
ン! みんなも聞きたかっただけなんだからそう喧嘩は
しないで!!」
「でも!色々ずるいと思うぞ」
「ふん!何がずるいか?」
また喧嘩になりそうな2人をどうにか押し止め、みんな
に視線を向ける。
「みんなもっ!早く聞きたいでしょ?」
だから手伝って欲しい。
切実に。
ねっ、ともう一度尋ねれば、シャルナークがノブナガを
引きずって部屋の端まで連れてってくれ、マチも一緒に
なって抑えてくれている。
それを確認して、やっとフェイタンからほっと力を抜
き、手を離す。
今日は本当にみんなの行動が分からない。
朝から来るなんてビックリだし、今の喧嘩もわからない。
いつもも謎だけど、尚更に分からなかった。
考えても分からないのだから仕方ないと、思いつつも悶々
と考えてしまうのはの悪い癖だ。
しかも直ぐネガティブになる。
そうなる前に思考を切り替えると、テーブルの周りへと
みんなを集めるために手招きした。
文句を言いつつも、直ぐにテーブルに集まってくる。
「それじゃ、さっそく始めますか」
今は修行、修行。
ノートを引っ張り出すと系統を書き込み、早速話を始め
るのだった。
