気弱な彼女15
あの修行開始日から早くも一週間が過ぎようとしている。
「……ふぅ」
溜め息が自然と零れ落ちる。
目の前の子供らは、が少し理論を説明しただ
けであっと言う間に基礎を物にしてしまったのだ。
ウボォーとノブナガが少し遅れを取っての習得だったけ
れど、普通と比べたら……才能の差を感じ無いわけには
いかなかった。
其処までは有る程度の予想はしていた物の、漫画でウィ
ングさんが言っていた事を少し話しただけで……なんて
少し黄昏た気分になってしまった。
自分は、あのヒソカのスパルタのおかげで此処まで来た
のだ、こんなに簡単に覚えられてしまうなんて、少
し……いやかなりズルイ!と思ってしまう。
何て考えてボーっとしている内に、今日のノルマを終え
た1人が駆け寄ってくるのが、目の端に見えた。
「クロロ、もう終わったの?」
「ああ、次ぎは何をすれば良い?」
「う〜んそうだね、そろそろ水見式をしてみようか、み
んなもそろそろノルマ終わりそうだし、読んで来てもら
ってもいいかな」
「ああ」
クロロはひとつ頷くと、クルリと踵を返し、みんなを呼
びに向かう。
その後姿を目で追いながら、家から持参したコップに水
筒から水を注いで、近くの瓦礫の上へと置き葉っぱを浮
かべておく。
丁度準備を整え終えた頃、各々喋りながらみんなが集ま
って来た。
最初に比べたら、フェイタン意外の子も懐いてくれて、
にっこり笑って手を振ってきたマチとパクノダに
も手を振り替えした。
集まってきたみんなを見回し、はパンパンと
手を鳴らし、グラスを指した。
「今から水身式をします。今日のノルマ終えた順ね、ま
ずは其処に置いた水に手をかざして、錬をしてみて」
前に出てきたクロロに促すと、スッと手をコップにかざ
すのをドキドキしながら見守る。
「……」
「水が……氷った」
一瞬だった、あっと言う間に水は氷り、葉っぱもカチカ
チになって触ると崩れてしまった。
「クロロは特質系みたいだね」
「……特質か……」
そう呟くと、クロロはフッと笑って後の方の瓦礫に向か
って行き、傍観体制に入ってしまう。
「じゃあ……次ぎ」
説明しようと思っていたのだけれど、取り合えずは全員
終わらせてからにしよう。
自分を勇気付けると、次ぎの子を手招きした。
++++++
一通り水見式を終えて、最後のフェイタンが今終わった
所だ。
思ったより時間が掛かり、もう夕方になっていた。
「フェイタンは変化系だね」
そう言って頭を撫でれば……。
「なっ! 何するね!!」
パシっと手を叩き、顔を赤くさせてみんなの方へと帰っ
てしまう。
近頃自分も大胆になってきた物だ……何て少し自分に賛
辞を送り、コップを片付けた。
「今行った系統と言うのは何なんだ?」
ノブナガが我慢ならんとでも言う様に、ブンブン手を振
ってアピールして来る。
その手がマチに当たって殴られていたけど気にしない。
今日までの教訓から見ないふりで話を進める事にする。
「今のはみんなの念の系統を調べたの、その系統によっ
て出来る業何かが決ってくるんだけど、その説明はまた
明日!!」
もうそろそろ夕食だ。
今日は此処までで一区切りにしよう。
そう言えばブーイングが飛んでくる。
其処は予想済み、はチラッとクロロへと視線
を送った。
「クロロが少し知ってるっぽいから聞いてみたら?」
「……少し本で読んだだけだ」
「……っ!!」
むっと睨まれる。
何故? みんなに質問攻めに合うのが嫌なのだろうか?
話が聞きたいわけではないだろうし……。
しかし、視線がかなり痛い…かなりお顔が怖いですクロロさん。
はそう感じ慌てて手を前で振った。
「クロロは質問攻めにしないこと!!じゃあ解散!」
フェイタンの所まで走ると、手を引っ張って慌てて駆け
出した。
後から何か聞こえたけど全部無視。
フェイタンも何か言ってるけどムシムシ無視!!
急ぎ帰路を駆け抜けていった。
