気弱な彼女14.








まず、修行する場所にやって来て思ったことは・・・。






もう嫌だ、逃げて良いですか?


だった。






の目の前で繰り広げられているこの光景は、
学級崩壊寸前の様な状況だった。


ウボォーが轟音を出して暴れている脇では、ノブナガと
フィンクスが何故か取っ組み合って転がり、その先の岩
の上にクロロが黙って本を読み、ゲーム機の様な物を手
に遊んでいるシャルナーク、フランクリンとマチ、パク
ノダだけが静かに座って話しをしている。



こうして眺めている今も、ウボォーの壊した瓦礫の破片
が、物凄いスピードでの足元にで飛来したし、ノブナ
ガとフィンクスの争いの火種を受けたマチが、拳を握り
締めて2人を殴りに行った。



「ねぇ、此れっていつも?」



「まぁ、こんなもんね・・・」




この会話を、鋭い聴覚でいち早く察知したらしいクロロ
が、ゆっくりと視線を達の方へと向ける。



「・・・みんな、が来たようだ」



昨日の帰り際に自己紹介済みのは、引きつっ
た笑みを隠さずにみんなの方へと近づいていった。



「今日からよろしく。取り合えず、ウボォー君は拳を止
めて下さい。 喧嘩も中止」


は、今も飛来して来る瓦礫を何とか無事に避
けつつ、深呼吸した。



心を落ち着けるために顔をパシっと覆い、一瞬で離すと、
一瞬フェイタンを見やってから口を開く。


「今日から念を教えるけれど、私だって完璧には程遠い
し、念なんか無くて戦闘能力で言えば、此処で一番弱い
と思う。」


今は黙って聞いてくれているみんの顔を見渡す。
にっこり笑顔付きで敵意無しもアピールしておく。

「だから、みんなに協力してもらわないと、ちゃんと教
えられる自信なんて無い!!!!!」


良し!!
此処までは順調らしい。

開き直って言い切ると、呆然とを見つめてく
る子達を無視して話を進める。


「では、今から基本の修行を始めようと思います」



此処まで言うだけでかなり突かれきったは、
やっと肩の力を抜く。
もちろん周りの反応を気にしつつではあるけれど。


正直、今言った事は最初言う気はなかった。
普通に始めて、なんとか乗り切り、今日を無事に終わら
せる予定だったのだ。


なのに・・・。
この子達を見ていて、ここではっきりさせて置かない
と、修行を見るの方が大怪我をする気がした
のだ。


たとえば、ノブナガ達の喧嘩を仲裁。

ウボォーの飛ばす破片の飛来。

怪我は擦り傷所では済まない筈だ。


ならば、今フェイタンが居るこの場で、勇気を出して
宣言をしてみたのだ。



自分は弱いんだ!!!!!!



弱者の知恵と言うべきか、開き直りと言うべきか。



取り合えずはの作戦は功をそうしたらしく、
ウボォーの拳は止まったし、喧嘩も中止さたのだった。



「はいっ! 此処の辺りに集まって!!」


大声でみんなを手招きして、フゥと息をつく。
さぁ、修行は始まったばかりである。







                     txt_44_back.gif  txt_44_top.gif  txt_44_next.gif