気弱な彼女13.2
「えっと・・・・・・本気、デスカ?」
は後に数歩後ずさりながら苦笑いを浮かべて
見せた。
「何度も言わせるな」
クロロのが静かな口調で、年齢には似合わない溜め息を
吐いた。
まわりの子達は何も言わずにを見つめている。
そんな状況下ではが選ぶ選択肢など一つしか
無かった。
「ハイ」
カクカクした間接を何とか動かすとゆっくりと頷いた。
それを見て満足げに笑みを浮かべるクロロを、
は何処か遠い所で見て居る様な気分でヘラっと渇いた
笑みを浮かべてみせた。
++++++
正直言うと、クロロ達に教えられるような実力など持ち
合わせていないは・・・。
頷いた瞬間に満面の笑顔でやって来たシャルナークや、
期待の目で見てくる女の子達の視線がもろに痛かった。
教えてくれたヒソカの様な訓練を、この子達に自分が
出来るとは思えなかったし、下手をしたら、この子達
の中には基礎がすでに出来て居る子も居る気がした。
の記憶の中では、念を元から少し出来てたり
する人がいると書いてあった気がする。
「えっと・・・・・・念って聞いたことある?」
そうだ、フェイタンはどうなんだろう。
それに、フェイタンが此処に居ないのは故意なのだろう
か?
脳内でそんな事を考えつつ、にっこりと笑って訪ねれば、
クロロがぱっと顔を上げ立ち上がった。
ピクリと反応してクロロを見れば、丁度口を開く。
それが念だと、ははっきりは知らなかったが・・・とクロロ。
どうやら、この間のの力を見たフィンクスに
聞いてピンと来て調べなおしたらしい。
「そうだな、拾った本からの独学だが・・・みんな何かし
ら力がある様だ。 が、ノブナガとウボォーが良くわか
らないな」
その言葉に始めに反応したのはウボォーで、むすっと
そっぽを向いてしまう。
ノブナガも心なしか不機嫌そうだ。
それを横目にクロロが再び口を開く。
「そこで、念とやらの基礎。 それから先を教えてもら
いたい。生憎、その本に詳しい話は載ってはいなかった
んだ」
「さっき言っていた力だけど、何か修行したりしたの?」
「ああ、本をヒントにいくつか考えた」
成る程。
はほぼ全員が潜在的に出来ていた事に驚く、
と同時に何だか納得してしまった。
さすが旅団である。
自分はヒソカのスパルタを受けてもへぼへぼなのだ。
潜在的に、かつ自分達で考えて何か修行らしき事が
できるとは驚きである。
黙っていたらネガティブ思考に入っていきそうな脳みそ
を引き戻すと、部屋の中の子供達へと視線をさまよわせ
た。
「わかった。何処まで出来るかわからないけと、私で
良かったら教えるよ」
そう言うと、部屋の空気が少し軽くなった気がした。
の勘違いな気もしなくも無いが・・・。
みんなが悪い気はしていないのはわかった。
「まずは、四大行のチェック。出来てたら水見式ね」
ビシッと熱血先生の様にやけくそに前に指を突き出し
て、自分自身にも活を入れ、の師匠生活が
幕を開けたのだった。
