気弱な彼女10








あれから数日、ようやく此処の暮らしにも慣れてきた
は、今は1人家で留守番中だ。



フェイタンは偶に、仕事と修行で出かけていく。
そんな時には、外出禁止で家で大人しく待っているの
だ。



フェイタンは、今日は何やら仕事のようだった。




何をしているのか気になるがあまり聞かない方向で行
く方がいい気がする。
自分の精神のためにも。





それはそうと、さっきからノックされているドアに
はビックリして固まっていた。


フェイタンの家に、今まで人なんて訪ねて来る事など
無く、これが初だった。




はゆっくりとドアに近づいてそっと覗き窓か
ら外を覗く・・・。



「なっ・・・・」


「!!!!」



お互いに目が思いっきり合った。


向こうも驚いていたが、そんなのは一瞬で、直ぐに警
戒して睨みつけてきた。



その反応は逆な気がする。


訪問者は向こうで、こっちは新参物ながら住人で、こ
っちが警戒するのが普通だ。



「何者だ?お前ここで何してる」




「えっと・・・・・・」



この顔、どこかで見た気が・・・。

は記憶の糸を手繰り寄せようと、眉間に皺を
寄寄せて考えた。



(ぁぁぁぁあああああ)


叫び声を口の中に閉じこめる。



今目のドア越しに立っているのは、旅団メンバーのフィンクスだった。


(怖っ!こわこわこわ)


睨み付けてる目はギラギラしている。
もう完全に怒っているのが丸分かりだ。


「ちっ・・・・」



このままじゃドアを蹴破って入ってきそうだ。
何だか助走までつけている。


「ストップ!」



我に返ったは、慌てて叫んだ。
このままじゃドアの下敷きになってしまう。


「待って待ってっ!私ここの居候なの、怪しくないよ。」




「証拠は?」



もしかして、フェイタンは自分の事を仲間に秘密にし
ていたのだろうか?



の事を少しでも聞いていればピンと来るはず
だ。


「証拠って・・・」



そんな事言われても、どうしようもない。




「無いなら・・・」




「待って待って待って!!!!!」




は真っ青になって首を左右に振った。
もう、一体全体どうしろと言うのだろう・・・。







「フェイタンのバカーーーーーーー」








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