時を渡る訪問者09.2
その夜。
今日もリズヴァーンの部屋で眠りについたは、
部屋の外から聞こえる何時もには無い音に目を覚ました。
「……」
そうっと耳を澄まし何の音なのかを確かめようとする
が、漠然とした音ばかりで、何が起こっているのかはま
ったく分からなかった。
慌てて隣のリズヴァーンを見れば、既に目が覚めていた
様で、真剣な目でじーっと部屋の外へと視線を向けていた。
「聞こえる?」
「……街の大人達が集まって話し合ってるみたいだ」
「なんで……」
誰に聞くでも無い疑問が口から零れた。
「多分、最近の様子に関係があるんじゃないかな」
「そっか」
シーンとした空気が部屋を包み込む。
「昼間も言ったけれど、大丈夫僕も居るから、ね」
「リズ……」
昼間決意したばかりではないか。
何だか、リズより年上な自分がリズに安心させら
れている。
きっとこんなんじゃ駄目なのだ。
は少しだけ先の未来を知っている。
何か出来るかもしれないのだ。
「ほら、もう夜中だ。早く寝ないと明日は寝坊だよ」
「うん」
今度は元気に返事を返した。
「リズ、手繋いで寝ようか」
思いつきだが、頼られる事を考えたら手を繋ぐに繋がっ
たのだ。
自分の不可思議な思考回路に苦笑しつつもそっと手を
差し出す。
「うん……手、繋ごうか」
差し出されたリズの手を取ると、再び布団に潜り込んだ。
「……私強くなる」
言葉にすると、ぐっと決意が増した。
唐突に口を開いたに、リズが動く気配が隣か
ら伝わってくる。
「……」
「絶対に強くなる……リズが頼れるようになりたいから」
何だか愛の告白みたいで、恥ずかしくなって布団を頭
まで被り、目を瞑った。
「今だって、十分頼ってるよ」
リズヴァーンはの手をそっと握り返した。
「……リズ」
「おやすみ」
それ以上はお互いに何も言わない。
2人は手を繋いだまま目を閉じた。
