最近になり、集落の中を不穏な空気が漂うようになって来た。
にだって、言われずとも肌で感じる事が出来る。
そんな雰囲気だった。
時を渡る訪問者09
はリズと2人で市に始めて来た日に、連れて
来てもらった小川へと来ていた。
偶にだけと、こうして2人で此処にきてのんびりするの
が楽しみになって、お弁当を持ってのんびりと過ごすのだ。
そんな2人の雰囲気とは違い、ここに来る途中の市で
もピリピリした空気が流れていた。
お店のおばちゃんに遠くへ行くなと注意を受けた。
普段ならそんな事絶対言わないのに、何故かと尋ねれる
と、困ったように微笑まれた。
狼が出る。
理由は其れで、今までだって同じはずなのに。
あの日が近いのだろうか?
はぼーっと小川を眺めて考えた。
クルクル流れる葉っぱは、の回る思考の様
で、余計に考えがグルグルし始める。
まず、自分がどう動くべきなのか。
自分が居ることで怒る影響。
様々な疑問が絡み合ってこんがらがってしまうのだ。
「、どうかしたの?」
「ううん、何も無いよ。ただ、何かおばさんの様子が
いつもよりピリピリしてた気がしただけ」
「そうだね、みんな大人達はあんな感じな雰囲気だ」
2人で小川を見つめて考えるが、答えが其処に書いてあ
る訳も無く。
「ん〜わかんないや」
頭痛がしそうで、ばっとその場に横になる。
「本当、わからない」
バッとリズもその場に寝転んだ。
少し湿った地面が冷たくて、2人は直ぐに起き上がった。
「折角来たんだから、満喫しなくっちゃ」
「そうだね、でも小川に落ちたりしない様に気を付けて
ね?」
+++++
小川からの帰り道、家が近くなりふと呟いた。
「リズ、今日、クロノさん達は遅いのかな?」
「どうかな・・・」
やはり何か有るのか、2人の帰りも徐々にだが遅くなり、
やはり何かが迫っている。
そんな予感をに抱かせた。
「そんな不安そうな顔をしないで?僕も居るから」
優しい笑みを見せられ、思わず固まった。
「リズ・・・」
リズだって不安でないはずが無いのに、は自
分が情けなくなった。
こんな時こそ、自分が支える事が出来なくてどうすると
言うのか。
「リズ、ありがとう。リズの事は私が守るから!」
満面の笑みでギュっと抱きついた。
「、それじゃあ逆だよ、僕がを守るって決めたんだから」
腕の中で身をよじるリズヴァーン。
何だか照れくさくって、もう一度抱きしめる。
「大好きだよ」
お互い、どちらとも無く顔を見合わせ笑いあった。
