時を渡る訪問者08
リズヴァーンの誕生日から幾日か過ぎ、の日
常は前の変わらずに続いていた。
ただし、多少心持も変わるもので……。
夜寝るとき、部屋にはきちっと帰る様になったし、やた
らと抱きついたりはしなくなった。
しかし、リズヴァーンがそれを不思議に思い始めた様で、
先日はジーッと見つめられて、はかなりドギ
マギしてしまった。
そして今日も……。
「そういえば、また一緒に小川にでも出かけようか?」
可愛らしく微笑むリズヴァーンに、抱きつきたくなる
自分を慌てて叱咤して、同じように微笑み返す。
「そうだねぇ、今度はお弁当持って行きたいね」
「春になったら行こうね」
「うん」
あぁ可愛らしい。
ほぉっと、思わず零れる溜め息を押し止め、伸びをする
と立ち上がった。
そろそろ寝る時間だ。
「じゃあ、そろそろ寝ようかな」
「……そう言えば最近早く寝るんだね」
そう、今はまだ寝るような時間では無いのだ。
「うん」
現代の時間で言えばまだ8時になるかならないか……。
今までは、遅くまで話し込んで一緒に寝ることもあった
のに、あきらかにあの日から変わった行動だった。
そして今ジーッと見られているのだ。
「僕と話すの好きじゃなくなった?」
「へっ?」
思いもよらない勘違いに間抜けな顔になる。
ありえない。
むしろ大好きなのだから……。
「何言って……リズと一緒に居るだけでも楽しいよ」
慌てて首を左右に振って否定する。
「ただ……」
リズは聡い子だ。
此処で変に嘘は付けないだろう。
ただ、全部は言えない。
まさか、好きだなんて言うわけにもいかないではないかっ!
自身に突っ込みをいれ、考えた。
「……」
リズは返事を待って、を見上げている。
「あのね」
言おう。
此処は嘘でなく当たり障りの無い本当の事を言っておこ
う。
「あー……最近考えたの」
「何を?」
「此処で遅くまで話込むと、ついつい此処で寝ちゃって
迷惑掛けちゃうでしょ?」
ねっ?とリズを見た。
「だから、眠くなる前に移動しておこうと考えたんだ」
「……そんな事気なし無くても良いんだよ」
キラキラした笑顔だ。
心配していた答えでは無く安心した様で、リズヴァーン
の笑顔はの心臓に直撃した。
「・・・っ」
キラキラだ。
リズヴァーンは満面の笑顔で宣言した。
「これからは遠慮しないで良い」
「うん」
この後2人で話し込み、は朝此処の部屋で目
を覚ますことになるのは言うまでも無い。
