あの日あの時あの一瞬
時を渡る訪問者07.2
は、さっきから赤く上気した頬をパタパタと
意味もなく仰ぎ、いつもの席に着いている。
突然抱きつかれて、免疫の無いには刺激が強
すぎた。
動悸も激しいし、頭がポッポッしている。
「?」
訝しげに顔を覗かれ、慌てて顔を上げると……。
声を掛けて来たディアナ以外の2人もジーッと
を見つめている。
「顔赤いわよ?」
「えっぇえ! たっ多分楽しみ過ぎて興奮してるから
かも」
どもってしまったけれど、一応納得してくれたディアナ
が、ニッコリと笑顔を浮かべた。
「フフ、も楽しみにしている様だし……リズ
の誕生日パーティー始めましょうか」
「そうだな」
クロノも1つ頷いて同意する。
「それでは……」
「「「リズ!!誕生日おめでとう!」
打ち合わせ通り、皆で声を上げた。
「ありがとう、皆」
リズヴァーンも嬉しそうに笑顔になって、照れくさそう
にお礼を口にした。
既に、皆プレゼントは渡し済み。
其の後は、みんなで談笑しながら美味しそうな料理を口
に運んでいく。
そんな中、は1人ドギマギする瞬間があった。
ご飯を食べるとき、コップを口へと運ぶとき、リズヴァ
ーンと目が合うと、自分でも顔が熱くなるのが分かっ
た。
今までも大好きだった。それは今でもまったく変わって
いない。
でも……。
何だかズキッと胸が痛むのだ。
今まで何でも無かったのに……。
リズヴァーンの誕生日パーティーも終わり、
は1人寝室へと戻って来た。
「ふぅ……」
大きく伸びをして布団にクルリと包まった。
今日も一日楽しかった。
朝から色々準備もしたし、結構疲れている。
そんな風に感じているのに、布団の中に潜っても、先程
の考えが頭の中をグルグルと回って、全然眠れそうにな
かった。
「何なんだろう……」
1人呟いて、そっと目を瞑って考える。
胸の痛み。
動悸。
顔が熱る?
全部リズヴァーンの事を考えている時に起こるみたいだ。
「……」
もしかして……
の頭に変な方程式が浮かんでチカチカとし始めた。
「マジデ……?」
クラリとする。
ゲームで見ていたリズヴァーンは確かに年上だった。
今は明らかに年下の男の子だ。
恋愛感情で好きになるだなんて……。
「私リズが好きなんだ……」
口に出したら、自身の中でボヤケタ輪郭が派っきりとし
ていくのが感じられた。
「うん。好きみたい」
気がついて直ぐは確かに驚いた。
けど……派っきり自覚すれば何てことは無い。
大好きな事は1つも変化していないのだ。
何だかスッキリとした気分で、は布団に包まり直した。
