時を渡る訪問者06






此処に来て3ヶ月がたった。


も此処の生活にもかなり慣れ、今では釜でご
飯を炊くぐらいならできるし、この集落の人たちとも
かなり仲良くなってきている。


来た時にはまだ暖かい日もあったのに、今ではすっかり
寒い季節になり、雪が降る日もあった。



もうすぐ今年が終わるそんな12月も末の肌寒い朝、リズ
ヴァーンには内緒で買いに出かけた。




正直ばれない様にして家を出るのは大変だった。

リズヴァーンに隠し事が出来ないのはこの3ヶ月での
出来事でもう十分わかっていた。

だから、今日は早起きしてこっそりと家を出てきたのだ。
もちろん、心配させないためにメモに散歩に行くとだけ
残してきたけれど、ばれない内に帰らないとやっぱり
心配するだろう。

風邪が寒くて、着膨れた服の前をギュッと合わせると
清々しい空気を肺いっぱいに吸い込み、早歩きで進ん
で行った。

そんなが目指すのは街の本屋さんだった。


あと数週間でリズヴァーンの誕生日。
念のため、早めに頼んだプレゼントの本が今日届くから
と、昨日から仕事の関係で出かけて居ないディアナとク
ロノの2人に、その本を受け取りに行くと言う任務が託
されたのだ。



もちろんリズヴァーンには内緒で。





は、本屋へと続く道を小走りに進んでいく。



自分も何かプレゼントを考えねばと考えていたが、ディ
アナやクロノからもらったお小遣いを使う気にはなれ
ず、何にすればいいのかが問題だった。



そんな事を考えていたからだろうか、おもいっきりすっ
転び、持っていたバックの中身を道の上にぶちまけてし
まった。

派手に転んだけれど、擦り傷もたいした事が無い様だ。


慌てて荷物をかき集めて、はふと手を止める。








「これ・・・・・・」



その手の先に落大きな風呂敷、今日受け取った本を包ん
で帰ろうと家にあったのを持ってきた物だった。









「使える!!!」



この布を見て、はパッと頭にアイディアが浮
かんで来た。



突然叫んだに、近くの木の上の鳥が鳴いて飛
び立っていったけれど、そんな事より今はプレゼンと
を思いついた事に頭がいっぱいだった。



ここ数日考えすぎて頭がパンク寸前だったのだ、後は
思いついたプレゼントを用意するだけだ。



自然とニヤケル顔を隠そうともせず、はスキ
ップして本屋へと向かっていった。





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