時を渡る訪問者05.






市に着くと、以外にも其処はかなりの賑わいで、
はかなりびっくりしてしまった。




「うわぁ・・・」




なじみのある食べ物や道具もあれば、見た事のない物
もあって見ていて飽きない。


それに、売っている人々が全員といってもいいぐらい
美人な事に、はかなり感動していた。



「昨日の金平糖は此処のなんだ」


そう言って指差す方を見てみると、沢山の色に溢れた
平台のある店が見えた。


其処にお菓子屋が有ると思うと、何故か甘い香りまで
して来たように感じる。



「あっちは小物を置いているお店」



小さい屋台の外にも色々ならんでいる。
可愛らしいお店で、若い女の人がおばあちゃんと何か
話して笑っているのが見えた。



「今度行って見る?」

「もちろん」


そんなやり取りを繰り返している内に、全ての店を回
り終える。



「次は・・・」





++++++




次に来た場所は、無い周りを花畑に囲まれた小川で、
静かに人気の無い小鳥の声が偶に聞こえる。
そんな場所だった。


「ここは凄く落ち着くから良く来るんだ、にも見せたくて・・・」


微笑みかけられ赤くなった顔を誤魔化す様に擦ると、
は後の方に立ったリズヴァーンを振り返った。



「私に教えても良かったの?」



「もちろん、だから教えたんだ」



そう言ったリズヴァーンは照れくさそうに笑うと、
近くに在った岩の上に腰を掛ける。



それを見たはその横に座ると、思いっきって
フサフサと草の生えたその場に寝転がった。



と、ふとある事に気がついた。



「リズ?買い物は良かったの!?」





「うん?・・・ああ、鬼の集落を案内するのが目的だ
ったから」


「えっ!」



そう言われ、今日の市での事を思い出す。


確かに今日一日で、集落の市の事はかなり知る事が出
来た。




「全然気がつかなかった」



驚いて目を見開くをリズヴァーンは楽しそう
に見ている。



「気がつかなくても、その方が楽しく此処の事が知れ
るかなって思って思ったんだ」



ハッとした。



「本当!きっと案内って知ってたら道を覚えようとか
そんなのばっかりで、小物の事とか町の人とか、今日
みたいに楽しく知れなかったかも・・・」



「でしょ?」



「うん!!今日凄く楽しめた」






此処に来てからありがとうばっかり言ってるなぁ何て
思いつつ、はリズヴァーンを見上げた。





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