時を渡る訪問者05






「本当に、2人とも仲良くって安心しちゃったわ」


そんなセリフを聞きながらは苦笑するしかな
かった。



目が覚めたらリズヴァーンが隣で座っていて、タイミ
ングが良いのか悪いのか、丁度襖が開きディアナが現
れたのだ。



昨夜はそのまま寝てしまったらしく、リズヴァーンに
は迷惑をかけてしまったと考えると、気分もブルーに
なってくる。



「リズ、あなたも隅に置けないわね」



クスクスと笑って、リズヴァーンをからかうディアナ
は凄く楽しそうだけれど、リズヴァーンは困った笑み
を浮べている。



(ここは私が何か言わねば!)




「私が眠れなくて……相手をしてくれてたんです」




は、これ以上リズヴァーンに迷惑を掛けてはいけないと、
思わず口を挟むけれど、ディアナはます
ます笑顔を深くする。


(なっなに!?)



は目を丸くして次ぎの言葉を待つ。


「リズ!もっと押せ押せよ!!を私の実の娘
にするためにも頑張るの!!」



「はっ母上!!」




名誉挽回するなんて思っていたの思惑とは
反対に、余計にリズヴァーンを困らせる発言になって
しまったらしい・・・。




と言っても、今のディアナに何を言っても自分の良い
方向に考えを持っていく様な気もするけれど。




その3人の様子を眺めながら、存在感薄くクロノは大
きな溜め息をついたのだった。




++++++




その日、朝食を終えると、ディアナはクロノに引きず
られる様に仕事場へと出かけていった。




それを見送り、2人とも安堵の微笑みを溢す。




「なんだか、悪い事しちゃったみたい」



が頭をポリポリと掻きながらを見ると、リズ
ヴァーンはゆっくりと首を横に振る。



「そんな事、むしろ楽しかったんだ、むしろいい事だよ



ニッコリと穏やかな笑顔はスッとの心の中へ
と沁み込んでいく。



は楽しくなかった?何て聞かれれば、今度
が首を横に振る。




「そんな!絶対にありえないよ、凄く楽しかったし、
リズと話せて嬉しかった!」



「じゃあ、ぜんぜん問題なんかない」



「うん!!」


「じゃあ、この話は此れでお終い。市に行こうと思う
んだけど行く?」



「もちろん!」


もちろんは元気良く頷いた。





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