時を渡る訪問者04.






「成る程、そう言う事なら何時までも家に居ると良い」


あの後落ち着いたリズヴァーンの父は快く
の滞在を了承してくれた。

しかし、ディアナに対してはまだ怒っていて時々キツ
イ目で睨んでいた。



です。宜しくお願いします!!」


「俺はクロノだ。呼び捨てで読んでくれ、



「2人の自己紹介が終わった所でご飯にしましょう」


ディアナが優雅なしぐさでニコリと微笑んだ。



「・・・・まったくお前を探していて俺はもっとお腹
が減っているさ」


クロノは金の髪をガシガシと掻きまわし、茶色の瞳を
ディアナへと呆れたように投げかけた。





++++++








みんなで食べた夕食はとってもおいしかったし、会話
も楽しかった。
夫婦はまるでを自分の子供の様に世話をやい
てくれて、照れる程だった。


でも・・・。




1人客間に案内されると、どっと不安が押し寄せて来た。
この後この村を襲う悲劇を思うと不安でたまらない。
リズヴァーンの姿を見れば、それは遠くは無い未来に
起こるかもしれないのだ。


こんな事考えてもどうすれば良いのかなんて分からな
い、でも考え出したら止まらなくなってしまった。



自分に何が出来るのか、むしろ足手まといになってし
まって主人公とリズヴァーンは出会わない運命になっ
たりするかもしれない・・・。

は小さく溜め息を吐いた。




「お水もらいに行こうかな・・・・」

布団から出ると足音をたてない様にそっと襖まで歩い
ていく。

そっと顔を出し・・・。



?」



「っっ!!!!!!」

突然の声に驚いて振り向くと。






廊下の先の襖からリズヴァーンが顔を出して、
の方をじっと見つめていた。



「リズっ!」


「どうしたの眠れない?」

「・・・・うん。お水もらったら少し落ち着くかと思
って」

「そっか。じゃあお水飲んで眠れるまで、部屋で話でも
しようか?」


「いいの?」

「いいよ」

リズヴァーンが微笑んでくれると、心がすっと軽くな
る気がした。


「ありがとう」




は今日何回目か分からないありがとうを呟い
た。



++++++



リズヴァーンはの部屋へともう一組布団を
出すと、の布団の横へ布団を敷き、2人とも
布団の上に寝転んで色々な話をした。

ディアナが帰ってくる前に話していた続きとか、
の世界の話とか、沢山話した。

鬼集落の友達の話を聞くと、リズヴァーンも年相応の
反応で、何だかその親近感がには凄く嬉しかったりもした。


でもいい加減夜も遅い時間だ。

そろそろ眠ろうと言う事になり、掛け布団の中へと潜
り込む事になった。





すると。

は、僕達を見て怖いとは思わない?」


の横に寝転がったリズヴァーンがポツリと呟
いた。




「全然」

即答した。
まったく怖いだなんて思わなかったんだから当たり前
だ。


「そっか・・・・」



「うん。リズは凄く可愛くて頼りになるし、クロノさ
んもディアナさんも綺麗で優しくてみんな大好きだよ」


此れが今の本当の気持ちだったし・・・。



も可愛くて優しいよ」


そう言ったリズヴァーンの顔の方がすっと可愛い。



はそう思ったけど言わなかった。

何故なら。

布団に入ったら急に眠くなって、もう瞼がシャッター
見たいに閉じてしまいそうだったからだ。


「・・・・・・・・・・・・」


「・・・・おやすみ

それに気がついたリズヴァーンは、そっと
布団を掛けなおすとそっと呟くと小さく欠伸を溢す。



もう時間も深夜、眠くなるのも当たり前だった。



目はトロンとして来た。

そっと目を閉じると、リズヴァーンはあっという間に
眠ってしまっていた。





++++++





リズヴァーンは、の隣で横になっている内に
いつの間にか朝になっていた。
びっくりして飛び起きた時もはぐっすりと眠
っていて、気持ちよさそうに布団の中で丸まっていた。





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