時を渡る訪問者03.






「異世界だと思う」






はジーッとリズヴァーンを見つめた。
リズヴァーンもをジーッと見つめす。









2人の間を暫く沈黙が支配した。







「そっか、信じるよ」



リズヴァーンはふっと力を抜くと、を安心
させるためににっこりと笑って、はっきりと頷いた。







「・・・・・・・ありがとう」


気が抜けた。もふっと肩の力を抜いて畳に手
つく。



信じてくれると思い込んでいたけれど、心の何処かで
不安もあったのだ。
突飛な話だし、いくら龍神の神子の話があったとして
も御伽噺に近い物がある。
しかも、は龍神の神子ではないのだ。



「信じるよ。僕達の一族はそう言う物の近くにいた
し、実際呼ぶ事もしていたらしいから慣れてる」



もう一度安心させる様に言うリズヴァーンの声は優し
い物で、きっとこの言葉や声に神子は励まされていた
のだと、ゲームでは知っていても本当は知っていない
リズヴァーンの優しさに改めて感動した。




「本当に・・・・ありがとう」


今度は満面の笑顔でリズヴァーンを見返す。




はここで本当の意味でやっと落ち着く事が出来た。
誰も自分を知らないこの場所で、素性を話して受け入
れてもらえた事はかなりでっかい事なのだ。
なんだかは苦笑してしまう。

ここまで自分が不安だった事に気がつかなかった。
しかも、気がついてすぐに不安がだんだんと治まって
いく。


これもすべてリズヴァーンのおかげだ。




「ありがとうなんて、何もしてないよ」


照れて笑う顔もほんわかととても暖かい。

「そうだ、お菓子でも食べる?」


そう言うと、リズヴァーンは茶箪笥の方へ立ち上がっ
た。


「今日買ったばっかりなんだ」



振り向いてお菓子をもって駆け寄ってくる。



包みを開けての前に差し出す。
小さくて色とりどりの金平糖。

一粒手に取り口の中へいれると甘い香りが
口の中に広がった。



「おいしいね」



「良かった」


リズヴァーンも一粒手に取り口の中へと放り込む。

「うん。おいしい」



今まで食べたどんな甘いお菓子よりも、この金平糖の
方がどんなに甘いのか。

きっと、この金平糖の味は一生忘れない。
はそう思った。





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