薄ぼんやりとした意識の中、目にしたのは戦場だった。
時を渡る訪問者11.2
まず、耳に聞こえる沢山の聞きなれない音に不信感を抱く。
はっきりとしない意識の下では、何もかもが億劫でしかたがない。
は何度か瞼を強くこすり、湿った土の上から身を起こし、
息を呑んだ。
自分は何を暢気な事を考えていたのだ!
別れる瞬間のリズの顔が頭の中に浮かび上がった。
「リズっ」
かすれた声が口から零れ落ちる。
目の前に広がった光景は、リズと一緒にいたあの森では無く、
森の中から見える外には、野営地が広がっていた。
心が真っ黒に塗りつぶされるように、不安感が押し寄せてくる。
此処は何処なのか。
光に包まれた後居たあの場所は何なのか。
リズは……。
リズはどうしたのだろう。
あの乳白色の流れの中見たモノはいったい。
グルグルと回る思考は、目の前の景色によってより強烈に胸
に押し寄せてきた。
此処から見える場所は入り口らしく、其処から奥が見える様に
なっていて。
鎧に身を包んだ沢山の人が見え隠れしている。
こんな場所なんてシラナイ。
なのに、何で見たことがある気がするのか……。
立たなくてはと思うのに、思うように体が動いてはくれない。
目じりに涙が浮かんでくる。
悔しいのか、悲しいのか、もう気持ちはぐちゃぐちゃだ。
でも、ずっとこうしてなんか居られない。
はぐいっとその涙をふき取り、もっと観察しようと、野営地へ
と視線を走らせハッとした。
其処に立つ二人組みに何故か見覚えがある気がする。
は、ふらふらした足で踏ん張るように立つと、今にも再び
座りこみそうな足で歩き出した。
早く。
何かを確かめたい。
そんな衝動が胸をついた。
何とか木にすがり、少しずつ進んでいく。
「もう少しっ、もう少しだ」
やっと森が途切れる場所にたどり着き、ほっとした息を吐いた瞬間。
「リズ先生を待つなら暖かくしないと」
風がヒラヒラと服を揺らしていく。
の体は一気に体が強張った。
その後の言葉なんてほぼ耳に入らない。
妙に自分の心臓の音だけが耳に響いていた。
なのに……。
「――覚悟だけは、しておいたほうがいい」
その言葉だけが……。
嫌に大きく声が聞こえてきた。
「―――っ!そんな覚悟なんてしたくないよ!」
周りの時間がいっきに動き出す。
少女が叫んだのを耳にした瞬間、森の中から
転がるように飛び出していた。
