ついにやって来た。
今日は2003年11月28日明方
は覚悟を決め目を覚ました。
ノートは自分が拾ってみせる。
気まぐれ旅行記09
11月18日にも朝から校庭に潜むと、学校が終わり、暗く
なるまで砂埃の舞う校庭を見つめ続けた。
が、いたって普通に過ぎていく時間。
楽しそうに友人と会話しながら通り抜けていく女子高生
に、バカをしながら掛けていく男子。
朝の登校風景がしだいに落ち着き、チャイムと共に人が
居なくなる校庭。
それでも見つめ続ける。
ライトが通った時も、ライトが体育の授業を受けている
時もだ。
いつアレが落っこちてくるとも限らないからだ。
ちなみにおトイレはライトが体育の時間に行っておく。
結局、体育の時間に生徒が出てきたときも、帰りの時間
になっても、何も降っては来なかった。
そして、来る今日。
は暗いうちから目を覚まし、先日学んだ経験
を生かして防寒着を用意し、弁当に簡易湯たんぽを抱え
てリュックに仕舞いこんだ。
「よしっ行こう」
口に出して頷くと、そうっとホテルを抜け出した。
+++++
絶対今日ノートが降ってくる。
確信に近い思い出校庭を眺めた。
もう時刻は昼を回った所だ。
それでも校庭には何も現れない。
そして、もうすぐ下校時刻になるその時だった。
パサ
アレが、あのノートが空から降ってきたのだ。
「……っ!!」
はその瞬間、はじかれる様に走り出した。
視界に小さく映っていたソレに向かってただただ突っ走
っていく。
最後の方はもつれる様な足取りでたどり着くと、倒れこ
む様にそのノートに覆いかぶさった。
「……っやった……やった!!」
多分こんな事をしたのだ、目だってしょうがないはずだ
が、今この瞬間には関係なかった。
ゆっくりノートを拾い上げると、懐に抱え込む。
「でも……この後コレどうしよう……」
拾えた後の事は全然考えて居なかった。
「……此処で考えてても仕方ないよね……」
このままでは不審者一直線だ。
きっとライトにも発見されてしまうだろう。
そうなったらかなり恥ずかしい。
此処で潜んで校庭を見ていたなんて、なんて言えばいい
のかまったく分からない。
とりあえず、は隠れていた茂みに引き返すと、
荷物を片付け、ノートは手に確り持ちホテルへと引き返
した。
