今日は2人とも、何処かへ出かける準備を朝になる前か
ら始めた。









気まぐれ旅行記08.2









は朦朧とした頭を叩き起こすと、もぞもぞと
ベットから起き、2人の準備の邪魔にならない様に隅の
ソファーへと移動した。



、急な依頼が入ったので、暫くは海外の生
活になるかもしれません」



「そっか」


聞いいるのだか、無いのか分からない生返事で答え、モ
ソリと座る向きを変えて、足を抱え込む。


「……起きてませんね?」



「うん」



「……」



「起きてます?」


「うん」



「……はぁ、起きてないですね」


ワタリがLとのやり取りを見て苦笑を溢した。

「私達はもう出ますから、変な人に着いて行く様なバカ
な事はしないでくださいね」


顔の目の前まで来て、はっきりと諭すように喋りかけら
れ、慌てて顔を上げる。


一瞬で眠気が吹っ飛んでいく。
顔、近すぎである。



「もちろん」


コクコクと頷くと、満足したのかLはゆっくりとした動
作で離れていった。



「それでは言ってきます」

「お菓子はキッチンですが、食べ過ぎないようにして下さいね」


そう言うと、2人はまだ薄暗い中何処かへ出かけて行っ
た。



+++++



ケーキは美味しいし、紅茶も香りが最高だ。
そんな中でぼーっと楽しむのも良いが、何だか焦燥感が
胸き居座って、グルグルと渦を巻いている。


「ん――……」


昨日はワタリとLと共に昼食を取ると言う、豪勢な状況
だったが、1人だと暇で仕方がない。


何の気無しに壁を見つめ、視線を彷徨わせる。


「ん……?」


ふと、シンプルで何の飾り気も無いカレンダーに目が止
まった。


もやもやが段々と強くなっていく。

分からない。

なのにこの感情は何なのだろうか。


「2003年か……」


年代もトリップする前とは違うなぁ何て、変な事が頭に
浮かんでは消えていった。

「……11月?」


どうやら今は11月らしい。
新たに捲られたカレンダーの最初の1日め。



「11月……2003年……っ!!」


はっとした。
の脳みそが一瞬にして覚醒し動き出す。
デスノートのファンブックで読んだ1ページが、ボンヤ
リとだが思い出された。


「確か、11月だった。ライトがキラになる日」


1人ボソリと呟いた。

シーンとした室内に思いの他響いたその声は、
の心の中に重い一欠片を落としていった。



「思い出せ、思い出してっ!」


髪をかき混ぜ、イライラと立ち上がる。
ソファーの周りをうろうろしては、また座る。
その繰り返しを何度も繰り返しては、足の速度が速くな
っていく。


「11月……11月の18日?28日?」


やっと其処まで絞り込み、沈み込む様にソファーに腰掛
けた。




「決めた」



安易だという事は分かっている。
子供っぽい作戦だし、建設的でも無い。


「18日と28日にはライトの学校に張り込もう!」



誰に言うわけでも無いのに、大声で叫ぶと、拳を上げて
立ち上がった。


「そうと決れば……」


そのままの勢いで自分の部屋へと駆け出していった。





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