気まぐれ旅行記08
ザーザーと窓の外では雨が音を発てている。
ので、今日は出かけずのんびりと目を覚ました。
「ねぇ……その紅茶?紅茶……だよね?」
「えぇ、もちろんですよ」
「へぇ……」
遅めの朝食をLと向かい合わせで食べながら、
は目の前の飲み物に、大いなる疑問を感じずにはいられ
なかった。
其の成分は主にグラニュー糖で、ほんの少しの紅茶の汁
で出来上がっている。
目の前で作られていくのを見ていたのだから確かである。
「おいしいですよ、も飲みますか?」
「遠慮します」
「そうですか」
無表情のまま、視線を紅茶改めグラニュー糖紅茶掛けに
やり、ザックリとスプーンで一口。
見ているだけで口が甘くなりそうだけれど、可愛いので
ジーッと眺めておいた。
も紅茶を口に含み、テーブルに並んだデザー
トのケーキを消費していく。
「あっ……いちご食べたいです」
「へっ?」
暫し固まって考える。
イチゴ……。
今食べているショートケーキの上に乗った、いちごの事
だろうか?
自信もいちごは大好物である。
あげるかあげまいか……。
「ん〜良いよあげる」
手元のフォークでいちごをLの前に差し出した。
「ありがとうございます」
大きく口を開いて口の中に頬張るL。
可愛い!!
「どういたしまして」
むしろご馳走様!の心は小躍り状態だ。
いちごを差し出してまで見たかいがあった。
笑顔を振りまいて、ケーキの続きを食べ始める。
「もチョコレートケーキ食べますか?」
「うん」
「……はい」
「ん?……はい?」
フォークの上に可愛らしく乗っかったチョコレートケー
キ。其れがぐいっと目の前に差し出されている。
「あーん」
「えっ!!」
「のは食べたじゃないですか」
まさかあーんして貰えるなんて考えてもいなかった。
思わず背中を逸らして、顔をケーキからブンっと逸らし
たのも仕方が無い。
「えっえぇぇっと……あーん」
「……どうです?おいしいでしょう」
「おいしい」
「そうでしょう」
頷いて自分も一口食べ、美味しそうにしているLに何だ
か和んでくる。
「ふふふ」
「何です?急に笑って」
「何だか楽しいなって」
「可笑しな人ですねも」
一言呟くと、ペロリと指を舐め上げた。
チョコレートケーキを食べ終わって、次のターゲットを
手で掴むと、美味しそうに頬張っていく。
「むっ……Lだってかなり可笑しな人ですよ」
むきになって言い返すけれど、何処吹く風。
あんまり気にしていないみたいだ。
「そうですか?」
「そうですよ」
そんな風にLとが話していると、ふと後ろが
暗くなった。
「お2人とも……ケーキばかりでなく朝食も食べてくだ
さい」
「うぅごめんなさいワタリさん」
慌てて誤る、無表情に食べ続けるL。
こんな感じに朝食が過ぎていくのが日常だ。
