気まぐれ旅行記06
ホテルの部屋に帰っては来たけれど、まだL達は帰って
きていないようだった。
「それにしても・・・ライトってかなりの好青年だったな」
漫画では、直ぐにデスノートを拾ってしまったため、ど
んどんと好青年からかけ離れて言ったけれど。
このまま行けば、素直に父の様な警察官を目指して頑張
っていたのだろうか?
むしろ国家公務員一種を取って、エリート街道まっしぐ
らだったに違いない。
捻って、ズキズキと痛む足を靴から救出すると、ソファ
ーの上へと寝転がりテレビをつける。
テレビでは今日のニュースや何かが流れていて、それを
BGMに、はいつの間にか眠ってしまっていた。
+++++
「、さん」
体がゆさゆさと揺すられ、ぼんやりと漂っていた意識が
段々明確になっていく。
ボーっとした視界には人影が2つ。
「・・・・・・」
「・・・・・・!!」
は慌てて飛び起きた。
自分はあのまま眠ってしまっていたようだ。
まだ寝ぼけている頭を慌てて動かすと、やっと現在の状
況が分かり始める。
目の前の人はL。
その後には心配そうにこちらを見ているワタリが立って
いた。
「大丈夫ですか?」
Lがまん丸の目をしてを覗き込む。
「さん。足を怪我しているようですが、何か
有ったのですか?」
ワタリがまだ帰ったばかりで荷物を抱えたままで訪ねて
きた。
「治療もせずに寝てしまったのですか?」
Lも首を傾げ、少し不満げにの足を見ている。
「捻挫でしょうが、早く治療しなければ悪化する事も
考えられます。次ぎからは直ぐに電話を、駆けつけます
から」
たんたんとそう続ける。
「すっストップ!そう続けて言われても、頭が着いてい
けない!!」
寝ぼけている事もあるのだろう。
まったく、何から答えればいいのか頭がこんがらがる。
その上、答えを挟む隙間も無く、矢継ぎ早に質問された
ら困ってしまう。
「すみません、心配だったので」
「こっちこそ、何だか寝ぼけてて」
ポリポリと頭を掻いて照れ笑いを浮かべる。
「足はズキズキしてるけど、歩けます。この怪我は・・・
ちょっと自転車と衝突して、治療は・・・してないです。
考えるまもなく寝てて」
「自転車・・・相手は如何したのですか?」
Lはの前のソファーの上にしゃがむと、お決
まりのポーズで、いつの間にか用意されたテーブルの上
のチョコを指で1つ摘みして、口へと運んでいった。
「走って去って行っちゃった」
「何もせず?」
「うん。それを見ていた好青年に此処の近くまで送って
もらったの」
「そうですか・・・その方には感謝しないといけませんね」
ワタリは、紅茶を持ってきて用意しながらそう言うと、
Lの隣へ腰を下ろす。
「そうですね、ですが、次ぎからは電話をして下さい。
心配ですら」
そう言いながらLはへ携帯を差し出した。
「私とワタリの携帯を登録して在りますから、何かあっ
たら遠慮せずに掛けてください」
「ありがとう」
は手渡された携帯を握り締めると、思わずL
へと飛びついてしまった。
「???」
「ありがとう!!」
もう一度そう言って、笑顔全快のままLから離れる。
「いいえ・・・・・・足は大丈夫なんですか?」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
そおっと足を動かさないようにソファーへと座りなおす。
「シップ貼りましょう」
シップと包帯片手にワタリがの足元に座り込
む。
「何から何まで、すみません」
「いえいえ」
+++
ワタリの見立てによれば、明日は外出禁止。
安静にする事と言い渡されたのだった。。
