気まぐれ旅行記04.






昨日出かけ時間よりも早い時間からL達は出かけるそう
で、朝が早かった。
今も慌しくワタリが動いている。


「今日出かけてもいい?」

それを眺めていたLの脇で、は普通に希望を
口にした。

「何処か行きたい所でもあるんですか?


いつもの様に椅子の上に座っているLが、下から覗き込
んで来た。
その可愛さに鼻血を抑えつつ頷けば、Lはそうですか
と一言言ってワタリを呼び止める。

お昼代もいるだろうと言う事で、お小遣いをくれるらしい。

にお小遣いをあげてください」


そう言われたワタリは、の方を向くと懐から
財布を取り出した。


「お出かけですかさん」


ニッコリと和む笑顔の後、財布から1万円を取り出し
に手渡す。


「えっと、お昼代程度でこんなにもらえません」


お昼とか交通費で一万円は少し多い気がする。
なんと言っても得体の知れない自分はただの居候である
のだし・・・。


「遊びに行けば小物も欲しくなるかも知れないですよ?」

とLが呟く。

そう言われると確かなので一瞬言葉に詰ってしまう。


がっ!
此処で引くわけにもいかない気がする。


「そうですね、そうするともっと・・・・・・しかしカードし
か・・・・・・Lどうしますか?」

現金はあまり持たないらしい。
このまま押し問答していても、最後は負ける絶対に。
その上金額も上がって行きそうである。



「いいです! 此れで十分ですよ!!」


やけになって叫ぶ。


「そうですか?」



そうですよ!はきっぱり告げるとお礼を言っ
てお金を受け取ってポケットの中へと仕舞い込んだ。


「じゃあまた明日にでも」



ワタリの言葉を引き継ぐように言うLに驚きの声を上
げると、は慌ててワタリを促した。



「時間大丈夫ですか!!?」


「・・・ああそうでした!」




そう言ってワタリは早足でドアの向こうへと消えていった。



+++


ワタリを見送るLが口を開く。

「ですが、何処に行くんですか?」



その何気ない言葉にの心臓は跳ね上がった。

は今からあのキラに会いに行くつもりだった
のだ。


「えっと、此処で自分の住んでた場所はどうなってる
のかとか、散歩しつつ見てこようかと」

此れも嘘ではないし、行くつもりだった。

此処一人だと結構暇なので。
苦笑して告げるとLは頷いて前を向いた。



「そうですか・・・。そう言えばはゲームとかパ
ソコンやるんですか?」


「えぇ!?」



そう来るのか?今の会話で・・・。
は半ば呆然としてLを見た。


「一人で出かけ事も出来ない日があるでしょう?」

「えっと・・・」



がオロオロとしている間にもLは自分の中で
決めてしまったらしくうんうんと頷いている。



「パソコンは私のノートパソコンを使って良いですよ」


(マジデ!!正直嬉しいです)

しかし。

重要な情報とかデータ入っているのでは?!
は慌てて首を横に振る。


「ダメですよ!仕事で使うんじゃないんですか?!」



「1つぐらい大丈夫です」



「でも・・・」



「主に連絡用に使ってましたし、さして重要性は無いので」


そう言ったLはたまたま通りがかったワタリをひきとめ、
L達が出かける頃にはの手元にパソコンが到着していたのだった。



「ありがとうL」

こうなったら欲求に従うまでだ。
はにっこりと笑って御礼を言い、しっかりと
そのパソコンを受け取り、出かける二人をパソコン片手
に見送るのだった。





                     txt_44_back.gif  txt_44_top.gif  txt_44_next.gif