気まぐれ旅行記03.






「どうかしたんですか?」



「・・・・何でも」


わかっていたとも!

わかっていたともさっ!!!


は呆然と窓の外に目を向けた。

窓から見える景色はサングラスの様な色に染められて、
ビュンビュンと流れていく。



デート気分でアイスでも食べて歩く。

なんて願望は叶うわけも無く・・・・・。
Lが徒歩で外を歩くなんて滅多にあるわけが無い。
長距離移動で車無しなんてありえかったのだ。


「酔ったんですか?」








「アイス・・・・」

「アイスですか・・・?」


Lもふと目線を外へと向けた。
偶然にも少し先にアイスの店が見えてくる。

「食べたいんですか?」


「あっ・・・と別にそう言うわけじゃ無い様な有る様
な・・・・」


アイスと言うよりはLと食べるのが重要なのだ。





「食べたいなぁ・・・なんて」


「そうですか・・・・。そう言えばご飯まだでした
ねワタリ」



「はい。」


ご飯でアイス・・・・。


「えっ!アイス買いに行くの?」


「ええ。見に行きますか?」


もちろんですが私は行きますよ?何て言ってるLを見
て、は思わずLを抱きしめそうになる。
うれしそうな顔はかなり可愛い。

(可愛い!!!!!!悩殺だよ!??)



さんも行くでしょう?」


「もももももももちろんです!!!」

プチデート成立!
思わぬプチデート発生にの胸はもうバクバク
のドキドキだ。
アイス屋さんの前で止まった車のドアが静かに開く。


「L、さん着きましたよ」



「いきましょう」


先に降りたLはさり気なくへと手を差し出す。
ナチュラルに出来るあたり流石である。


「えっと、ありがとうございます」




入った店内。店の中にはお客さんがが1人も居ない。
不思議に思っていたのが顔に出たのか、ワタリさんが
にっこりと。

「開店前でしたが、少々無理を言って空けて貰いまし
た。」

爽やかにさらりと言った。
には全然さらりじゃなかったけれど。

(えっ?開店前!!!?)


の時間の感覚はかなり狂っていた。
トリップの連続で時差ぼけっぽくなっていて、今が
そんな時間だったなんて考えても居なかった。

時計を探して見てみれば、まだ7時30分。
開店する時間でも無い?微妙な時間だった。


「さぁ、さんもどうぞ」

Lに目をやれば、4段重ねのアイスクリームを嬉しそう
に食べている。


「えっと、遠慮なく頂きます」





いざアイスの前に来るとかなり迷う。
さすがに4段重ねは無理かなと考えてLを見ればもう
3段になっているアイス。


「私も4段で!!!」


勢いで注文してしまった。
人のを見てると大丈夫な気がして来るものだ。




「キャラメルと、モカ。あと・・・チョコとチーズケ
ーキ味で」


そう頼んで出てきた物は・・・・。



「うわぁ・・・・」



手に持つとずっしり重いアイスの4段重ねだった。





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