気まぐれ旅行記03





あの後、我に返るまでに随分時間がかかった。

目覚まし時計が、間抜けにも12時間間違って鳴る音で
やっと我に返る事ができたのだ。



「まぁ。いい夢見たと・・・・思えるかーーーーー!」



せっかく行けた大好きな世界だったのに、
は何も出来なかった。
もっと、もっと何かしたかった。
たとえば、Lとアイス食べたり買い食いしたり。
いっしょにお出かけも。



その願いが目前に迫っていたのに、何てついていて
ついていないのだろう。
喜んで良いのか悪いのか、はっきり言って分からない。


「はぁ」



取りあえず今日は不貞寝しよう。は布団の中
に潜り込んだ。






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一晩明け少し冷静になってきた事で、お腹が空いて
いる事に気がついたは、台所までふらふらと
歩き出した。
昨日は寝巻きにも着替えず、そのままの格好で寝てし
まったため、体がギシギシしている。


「まったく、起こしてくれれば良いのに」

文句を言いながら開けたドアの先は・・・・。












(何だ此れ!)




。出て来るのが遅かったですが、何かあっ
たんですか?」


「ワタシの前に出た気がしたのですが」


ワタリが首を傾げる。

居間へと向かうドアの先が、昨日まで居た場所に繋が
っているなんて。


はっきり言って、が首を傾げたい。





それに、聞かれても何を言えばいいのか・・・。
は足もとを見てとっさに口を開いた。



「あっ、靴!靴が無かったんです」

取ってつけたようなのは・・・まあ仕方ない。


調度良い事に、は今素足だ。



「成る程。・・・ワタリ、私の靴を一足出してあげて
ください」


「はい」



Lは相変わらずの無表情で告げ。
ワタリは微笑んで靴を取りに行った。


対照的で、とてもしっくり来る2人だ。
何だか気分も落ち着いて来たは、改めて後ろ
のドアを振り返った。


「どうかしましたか?」



「・・・ううん何でも無いです」


時間が経っていない上、また此処に此れたのが何故な
のか、分からない事だらけだ。

でも。

今は取り合えず、Lとのお出かけ?もどきを楽しもう。
は慌ててLの方へと向き直った。





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