気まぐれ旅行記10









夜ご飯も食べ終わり、もう夜中だ。
L達も今日は既に眠っているみたいだった。
はベットの上でデスノートを握り締め、考え
ていた。


このまま持って保管するというのは不安で、いつど
うなるかと考えると、此処で何とかしなければ。



先ほども考えていたが、やっぱり。





「燃やしちゃう?」



の言葉はシーンと静まり返る空気の中に消え
ていく。



「お前面白い事言うな」


「……」


「なんか幻聴が聞こえるな……ヤバイかも」


自身以外居ない室内から、物凄く特徴的な声が聞こえて
きた。


「幻聴じゃないぜ?」


「よしっ!燃そう」

聞こえない。
はっきり言って聞きたくない、ソノ声を無視して、簡易
台所まで駆け出した。

後ろから何か嫌な物が来ている気がするがそれも幻覚に
決っている。
は素早くコンロに近づくと、大慌てで火をつ
けた。



ボッ




つけたはしっこの部分からノートが燃え始めた。




「……こいつマジで燃やしやがった!!」


後ろでこのノートの元の持ち主が身悶える。


が、には知ったこっちゃ無かった。
やったのだ。
これで2人の運命は変わっていく。


燃えていくノートを見つめながら、知らないうちに涙が
零れ出た。

「……ふっぅぅぅ」


最後の部分は近くのボールを引き寄せて、その中に放り
入る。

ちょっとすると、その中でノートは燃えカスへと姿を変
えていた。



「お前、何でそれを燃やしたんだ?」



別に何の思い入れも無かったのだろうか。
そのノートの持ち主……リュークは不思議そうに首を捻
った。




「これは此処に無くて良いから。これによって2人の青
年の人生がメチャクチャになる。ううん……もっと沢山
の人の……」




「ノートについても詳しそうな雰囲気だが……まるで
未来を知って居る様な雰囲気だなお前」



そう言ったリュークの表情は、楽しそうに笑んでいる。
の言動一つ一つを楽しんでいる様だった。



「そうだね……知ってるのかな?」



「お前を見てたら暫くは暇つぶしになるかもな」



「……はぁ?!」



思わず聞き流しそうになり、慌てて聞き返す。




「良し。取りあえずまた明日だな」



そう言うと、リュークはあっと言う間に消えてしまった。

気が抜けた。

はその場にへなへなとへたり込む。


すると、突然に眠気が襲ってきた。
瞼がショボショボとして、視界が一段と狭くなる。



「うう〜ベットに戻らないと……」



そう思っているのに、いつの間にか視界が狭くなる。

はヨロヨロと立ち上がると、寝ぼけたままで
ベットのある所まで歩き出した。


何とかベットまで無事たどり着くと、は強力
な睡魔へと身を任せた。





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