突撃!バケーション5










清々しい朝だ。

窓から覗く朝日に大あくびして、跳ねるようにしてベットから
立ち上がる。


何だかんだ言って、此処ですごす事数日。
今日は編入手続きをしに行く日だ。


備え付けのクローゼットから、此処の世界で私が通っていた
中学の制服を取り出した。


中学か……。





「ふわぁ〜〜〜〜」


手で遠くに遠ざけて、大あくび。
昨日は優希さんとトランプで遊んでいてあんまり寝ていない。

まっ公立だしテストは無いから平気でしょ。



「……女じゃねぇなその欠伸」



何奴!?

突然振って来た声に、慌てて振り返る。


「なっ……!」


ああああ亜久津君!
寝間着なのにっ、ノックも無しってどういう事だ!?

言葉が口から出てこない。

空気だけが漏れていく私を、亜久津君が興味を無さそう見て、
イラついたように舌打ちした。


ビクッとして見上げれば……。

「メシだとよ」



それだけ言って、亜久津君は乱暴にドアを閉めて去って行く。



「……アハハハハハ」







暫く思考も働かなくて、その場に立っていたけれど、下からの
優希の呼び声に、慌てて着替えに飛びついた。


+++



慌てて階段下り、リビングへの扉を開ける。


朝食の席には既に亜久津君の姿は無く、優希さんがニコニコと
手を振ってきた。
もう一方の手には美味しそうなサンドウィッチが乗っかっている。

「ほらほら、早く座ってちゃん」


促されて、素直に席に着く。

かぶりついたサンドウィッチはかなり美味しくて、あっという間に
胃袋の中に納まった。


「ご馳走様でした」


残ったジュースを一気に飲み干す。

もう満足!って感じ。


「それじゃあそろそろ行きましょうか?」


優希さんが鞄を持って立ち上がる。


「はい、準備万端です!」


私も隣に置いた鞄を手に立ち上がった。





+++





以外にも、手続きは簡単に済み、新学期にお会いしましょう。
なんて言われて校長室から退室する。


「良かった、これで学校の手続きはOKね」

優希さんが嬉しそうに笑うから、思わず私を笑みを浮かべる。



学校は部活も休みの様で、とても静かで私達の足音だけが響いて
廊下に反響している。


「ありがとうございます優希さん」



「いいのよ、後は制服だけど今日作りに行く?早いほうが良いわよね」


でも。

と残念そうにする優希さんに首を傾げる。



「この後仕事なのよ」



「あっなら私だけで行って来ます。場所さえ教えてもらえれば、採寸
ぐらい一人でも何とかなりますよ」



「でも……」



「もう、そんなに心配しなくても、何かあったら電話しますから」


何故かこっちでも使えている携帯電話。
もちろん優希さんと亜久津君の番号はゲット済みである。


「そう?」


既に校門の外、渋る優希さんから地図を書いてもらうと、手を
振って駆け出した。



「気をつけてね!!」



「はいっ!」






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