放課後の、夕食にはまだ早すぎる時間のホグワーツの大広間

グリフィンドールの席の一角に広がる甘い香りと笑い声

私のそばには、悪戯好きの楽しい仲間たち

そして、私の大好きな人












     SUGAR×SUGAR




















「でもってほんとかわってるよね」

「ん? どしてさジェームズ」








机をはさんで向かい合うように座る、くりくり癖毛のジェームズにそう聞き返せば、彼は楽しそうに笑って









「だってスリザリンの生徒なのに、グリフィンドールの僕達と仲がいいなんて、さ」











そういって彼が指差した先に目をやれば、ジト目でこちらを見ていたスリザリン生が慌てて目をそらす。

















「だったら、私は皆も変わってると思うなー」















だって、スリザリン生の女の子と一緒になって悪戯しかけてるんだもんね、と笑って言えば、

ちげーねー、とジェームズの隣でシリウスが笑う。

目をやれば、私の隣に座っている彼も、そうだね、と笑った。























「――は、さ」











さっきから紅茶を入れたゴブレットに大量の砂糖を入れていたリーマスが、急にポツリと呟く。

おもわずときん、と心臓が波打った。










「卒業したら――どうするの?」











びっくり。

リーマスに卒業後のことをきかれるとは思わなかった。

そういえば、来年はもう卒業なんだっけ。私も、皆も。

リーマス、ジェームズにシリウスは「不死鳥の騎士団」にはいるんだって聞いたことがあったっけ。







卒業後、かぁ……











「んー……闇払いの試験を受けるつもり。その前に家出しなきゃ」















比較的さらっと言ったのがまずかったのか、シリウスとジェームズが噴出した。2人同時に。

リーマスだけは、予想していたみたいでにっこりと笑っていたけれど。








「い、家出って……お前も家を捨てるつもりか?」










スリザリンに選ばれたのに、とシリウスの目が言っていた。

む、私だってスリザリンに選ばれたのがなにかの間違いだって思ってますよ。

だいたい貴方に言われたくないわよ。











「シリウスだって去年ブラック家を出たじゃない。

私は誕生日の関係で卒業したら、になっちゃっただけよ。

私だってあんな純血主義のごてごて家族嫌いよ」













ほっぺを膨らませてシリウスを睨めば、ジェームズが“さすがだ”とばかりに笑った。













「でも、そしたらどうするつもりなのさ、住むところとか――」




「あぁ其れは平気。夏休みの間に、こっそりグリンゴッツに私の金庫を作ってきたの。

それで、当面の生活費になるでしょ」
















抜かりはなくってよ、と笑えば、3人ともちょっと引きつったわらいをこぼして。

きっと、“やっぱりこいつはスリザリンだ”とでも思ってるんでしょう。















「とにかく――ねぇ、まだ住むところが決まって無いなら、僕の家に来ない?」














「「「ぶっ」」」

げーほげほげほ。















「お、お前なにいきなりいってんだ」

「リーマス、とうとう砂糖の取り過ぎで壊れた?」






「いやだなぁ、僕はいたってまじめだよ?」
















にやり、と笑みをこぼしてシリウスとジェームズに返事すると、

今だ盛大に咽ている私の背中をそっと撫ぜてくれる。



ようやく咳が止まったところで、赤く火照った顔を手で仰ぐ。


















「いや、ずーっと考えてたことだよ。と暮らせたらいいのになーって」














いやそんな輝くばかりの笑顔で言わないでください。

心臓がっ

心臓がもたないから!
















「で――どうかな?」















リーマスがそう私の目をまっすぐ覗き込めば、ジェームズもシリウスも私を凝視して。

確かにリーマスと暮らせたらすっごく嬉しいし幸せだけど!!



なにもこんな――所で言うことないじゃない!!






耳まで熱くなってきたのを感じつつ、3人の視線のむしろの中で視線をさまよわせ――

















「〜〜っ部屋に帰る!!」























がたーんと。

大広間中に響き渡るほどの大きな音をたてて立ち上がると、そのまま一目散に寮への道を走る。



途中で薬品臭い黒髪の男の子を踏んづけた気がするけれど、そんなのにかまってられるか。



























「……アレは、YESと取っていいのか……?」










大広間に取り残された「悪戯仕掛け人」がまだ呆然としている中で

最初に口を開いたのはジェームズだった。

その声に、シリウスも意識を取り戻して、でもまだ呆然としたまま、多分……と頷く。

をあそこまで動揺させた張本人であるリーマスは、というと

明日会ったらまずはキスで挨拶かな、と笑っていたりする。














で。

とりあえずリーマスのお祝いもかねて、

背中に何故かくっきりと足跡をつけてよろよろと大広間に入ってきたセブルス・スネイプ少年に

クソ爆弾で悪戯を仕掛けるために立ち上がった3人だった。










END

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None of town that areさんのキリリクで書いていただいた物です。

黒いリーマスがなんとも言えません^^







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