気弱な彼女09.2
気分が良い。
はスキップする勢いで駆け出し、キョロキョ
ロと辺りを眺めた。
昨日は緊張で見えなかったが、人の気配が有るのが分
かる。
だからと言って、に対して興味の視線を送る
わけでもなく、各自自分の事をやっているだけだ。
ますます気分良く歩いていく。
ご飯を探してフェイタンの役に立とう!と決意を新た
に、注意深く回りを見て歩いていく。
しかし、暫く散歩気分で進んでも、中々目当ての物が
見当たらない。
「ご飯って落ちてるのかな?というか、それって腐っ
てるんじゃ・・・・・」
それは一番に気づく事。
浅はかだった自分を思いっきり叩きたい気分だ。
「・・・・・あああああああ!!!!!!」
それに追い討ちを掛けるかのように、はある
事に気がついた。
「ココドコ?」
悲しいかな、は来た道を覚えていなかった。
「・・・・・・・・・」
顔面蒼白で、急ぎ来た道を駆け戻る。
そうすれば、見覚えのある道にたどり着くかもしれな
い。
でも、行けども行けども同じ道に見える。
どこもゴミの山で、なかなか見分けがつかない。
そんなの脳裏に、フェイタンの顔が浮かんで
きた。
怒る。
きっと怒る。
の想像の中のフェイタンは、出会った時に腕を
ひねり上げた、恐ろしい殺気を放ってを睨んで
いる。
(「お前、足手まといね。もういらないよ」)
そんなセリフまで聞こえる気がする。
「・・・・。いやぁぁぁぁぁぁぁああああ」
こんな事って無い。
可愛いフェイタンに嫌われるなんて、そんな事耐えら
れない!
何としても、フェイタンの帰ってくる前に家に着きた
い。
は真剣に戻る道を見極めようと、分かれ道で
立ち止まる。
「う〜〜〜〜〜〜」
ここは野生の勘で右!
「う〜〜〜〜」
こっちは左。
普通迷子になったら動かないのが正解だ。でもそれは、
向かえが来ると分かっているからできる方法だ。
なんとも頼りない方法だが、この方がずっと良い。
そんな事をやっている内に、何だか見覚えのある道に
出た。
確か、ここの辺りに扇風機の羽根が落っこちていて、
小金色で珍しいと思って拾おうと思ったのだ。
でも、重たいので帰りに寄ってなんて考えていた。
だから、ここにソレがあれば、家はもうすぐのはず。
「あった!」
キラっと光るその物体、確かに扇風機の羽根だ。
は、ついでにそれを抱えると、急ぎ家へと走
り出した。
「ただいま〜〜!」
弾く様な勢いで扉を開けると、部屋の中へと駆け込む。
「・・・?」
どうやらフェイタンはまだらしい・・・・。
「何だ、まだか」
ほっと息を吐く。
「そんなわけないね」
「”%’%$&%’?”#’=〜=!!!」
声にならない叫び声を上げ、振り返ると、そこ
には無表情のフェイタンがたたずんでいた。
「ドコ行てた。逃げるだたか?」
フェイタンはドアを背に静かに立っている。
「違う!」
は慌ててフェイタンの元に駆け寄った。