「夢見本舗」

     〜憧れの異世界へ〜










ああもう、まったく。

何で教室なんかで寝過ごしたんだろう。

電灯の灯りもポツポツとした道を、ひたすら自転車を走らせて行く。

「自分のばかぁ!」

半泣きで叫んでみても、現状は変わるべくも無い。

そんな私の目線に何かが飛び込んできた。
曲がり角だ……。
こんな所に曲がり角など在っただろうか、何時も通る道だし今まで気がつかなかったなんて可笑しい。


「不気味……」


あんなに急いでいたのに、そっと自転車を止めて道の奥へと目線を向ける。
と、奥の方に誰かが立っているのが見えた。



「ようこそ。 何をご所望ですか?」

「えっ……」

結構遠くに立っている様に見えるその人の声が大きく響き、まるで耳元で聞こえたような錯覚を受ける。
引き付けられるように、自転車を其処に止めてその人の方へと足を向けていく。

こんなに不気味なのに、それでも行ってみたい。そうも思ったのだ。

「此処は何か売っているんですか?」

「此処は貴方の行きたい所へと道を開く場所」

良く響く低い声が、紳士的に答えを返してくる。
近くに来て分かったのだが、燕尾服を着た男性で深めに帽子をかぶって、闇に浮き上がるような金の髪を後に流していた。

「私の行きたい所?」

動揺を抑え、相手を見据える。

「ええ、私どもは悪徳では御座いませんので、お客様の注文の通り、事後サポートもバッチリです」

「はぁ……」

本気なのだろうか、少し怖くなって後を振り返った。

「えっ!?」

無い!さっきまであったはずの道が無くなっている。

「どうなさいますか?何も要らないと申されるのでしたら、先ほどの場所までお送りしましょう」


どうしよう。
此処で選ばなければ、元の普通の暮らしに帰るのだ。

「それって……何処でも良いんですか?」

冗談みたいな話だけれど、物はためし。
ずっと行ってみたかった場所……。


選択肢 「ハンタ世界に行ってみたい」

    「ハリポタの世界へ!」